バカ母さん 2

<症例>

五月雨登校(週一回ぐらいの登校)の中学生の息子が居ます。母親は学校に行かせない対応をとっていますが、息子の方で勝手に学校に行ってしまう日があります。
母親は息子とたくさんスキンシップをとり、バカ母さんになりきり切っています。息子は「お母さん、バカだ」「お母さん、大人なのに恥ずかしくないの?」「お母さん、大丈夫?」等々言います。すると私も冗談で「しょぼん」と、ショボくれると「お母さん、大好き!」と言ってくるので「本当に!?」と目を輝かすと「お母さん、大好き」と言います。
すぐ最近までとても荒れていた息子ですが、今はゲームに夢中で、家の中に平和が再来しました。

>母親は息子とたくさんスキンシップをとり、バカ母さんになりきり切っています。
母親は学校に行こうとして行けなくて苦しんでいる息子より、学校に行かなくても家で明るく元気な息子を求めました。それを実現するにはどうしたら良いかと考えても良い方法が見つかりませんでした。いろいろなところに相談しても、母親は叱られるだけです。何とかして息子を学校に行かせる努力をするように勧められました。可能なこと全てをして今目の前に居る息子を母親は見ていたのです。
所があるカウンセラーが母親の思いに賛成してくれました。そのカウンセラーがアドバイスしてくれたことは、
学校がある限り息子の辛さは解消しない
今の母親を見る限り、息子は学校に行くことを思い出して辛くなる。今の母親で息子に学校に行くことを思い出せないためには、今までの母親とは違う、学校とは全く関係ない母親になること。それはバカ母さんを演じること。だめ母さんを演じること。
今まで母親の期待に応えられないだめな自分を感じて居た息子がとても自分を学校に行かそうとしない母親に気づくと、それだけで学校を意識しなくなり、心が楽になること
息子の辛さを解消できるのは母親だけ
母親が息子の辛さを解消する方法は、子供の本能を利用すること。つまり息子を無条件で受け入れる母親。それには共感とスキンシップだけで必要十分だと言うこと
と、息子の心を代弁してくれました。そこで思い切ってバカ母さんの演技を始めたのです。
今まで母親から否定され続けていたと感じて居た息子は逆に母親を否定し始めました。その姿が
>息子は「お母さん、バカだ」「お母さん、大人なのに恥ずかしくないの?」「お母さん、大丈夫?」等々言います。
と言う息子の姿です。
>私も冗談で「しょぼん」と、ショボくれると
その息子に反論することなく、逆に素直に受け入れて母親が子供の本能を誘発する行動に出ました。息子は素直な自分の感じ方から
>「お母さん、大好き!」と言ってくるので「本当に!?」と目を輝かすと「お母さん、大好き」と言います。
となりました。それが繰り返されることで、息子は母親から受ける登校刺激が無くなり、母親からの癒やしだけを感じられるようになり、その分心が元気になってきました。

>すぐ最近までとても荒れていた息子ですが、今はゲームに夢中で、家の中に平和が再来しました。
ただ母親からの登校刺激が無くなっても、今まで受けていた登校刺激から、習慣的に自分の中で登校刺激を作ってしまいます。その辛さを解消するためにゲームに没頭するようになります。常識的にゲームに没頭することは好ましくないと息子は知っています。しかしだめ母さんならそれを指摘することはないという安心感から、ゲームに没頭できます。時間とともに、自分で作る登校刺激が段々弱まっていきます。
自分で作る登校刺激が無くなると、息子は学校に行っていないけれどごく普通の男の子に戻りました。