大人の引きこもり 5

$3自己否定について

子どもの引きこもりでは登校刺激から子どもを守り、子どもが持つ本能を信じて待ってあげるのが一番良い対応です。子どもはそれだけで社会的に自立した大人になり社会に出て行ってくれます。それも親を鏡にして成長をしてくれます。

大人の引きこもりの解決は子どもほど易しくありません。親も社会もその解決を急ぐあまり、却って引きこもりを強めて解決を難しくしています。場合によっては事件になってしまいます。引きこもりに関連した大人の凶悪な事件が多いことは皆さんもご存じだと思います。その時言われることは引きこもりだったからと引きこもりに原因の一端を求める論評が多いですが、引きこもりを解決しようとして却って引きこもりを強めて事件に至ったことに気づく人が皆無のようです。

大人の引きこもりの場合、自己否定という要素と、心のエネルギーという要素とを考える必要があります。この二つの要素とも、今の日本の大人が持っていない概念です。自己否定とは、普通の大人でも何か失敗をした折に、此ではだめだ、自分はだめな人間だと感じる反応の仕方です。そして多くの大人、普段から自己否定をしていない大人では、その失敗を回復しようとする心のエネルギーを持っていますから、自己否定が問題になることはありません。引きこもりの大人にとって自己否定が大きな意味を持っているとは考えません。