心の基本に戻って 2

前回は接近系、回避系という考え方が情動をよく説明していることを申し上げました。大脳新皮質では、動物では習慣行動に接近系と回避系の行動が見られますが、その様な分類は意味が殆どなく、その様な習慣行動を学習してきているという事実から考えれば良いことを申し上げました。

人間では意識行動という物があります。この意識行動の意識という部分を説明するのは大変に難しいです。意識行動とは人間の行動の中で、情動行動でもなく、習慣行動でもない行動の仕方になります。この行動をもっと脳の機能から表現してみますと、意識行動とは陳述記憶に基づいた行動と言って良いようです。

ここで意識行動を知るには、陳述記憶とは何かを知っておく必要があります。記憶には陳述記憶と反応記憶とがあります。ただ、心が辛い子どもを考えるときは、意識行動はないと考えて良いので、心が辛い子どもの行動は習慣行動と情動行動だけだと考えて、ほぼ間違いないようです。

陳述記憶とは、その記憶の内容を言葉として表現でき、文字を持っている人なら文字でも表現できる記憶です。しかし陳述記憶も次に述べる反応記憶に裏打ちされているという事実もあります。また、陳述記憶を繰り返すことで反応記憶にする事が出来ます。その時の藩王記憶を習慣化と言います。

反応記憶=非陳述記憶は言葉に出来ない記憶です。記憶を表現した後なら、その表現を観察して言葉で表現できますが、記憶を表現しない限りそれを言葉にする事はできません。情動記憶と習慣からの行動の記憶はこれに相当します。