ある男の子 5

>高校二年の純一君は少し線が細い青年ですが、とてもしっかりとしていて勉学に励んでいました。積極性も有り、クラス委員も進んでしていました。秋の文化祭では数名の仲間と役員になって、クラスをまとめて企画を作り、担任と話し合いました。然しその企画の内容が今までにないユニークな物だったので、担任から強く拒否をされてしまいました。


純一君は、その時持って居た性格から高校生活をして居ました。心のエネルギーがそれほど大きくない状態で、その性格から無理をして挑戦を重ねていました。その挑戦を学校が受け入れてくれていたなら、純一君の心のエネルギーは増加して、文化祭の役員の問題も乗り切れたはずです。しかし現実は、純一君のいろいろな挑戦は只単に挑戦で終わってしまって、心のエネルギーを増やさないままだったようです。そして文化祭の役員に挑戦を始めました。

秋の文化祭の役員に挑戦を始めたのは、純一君がその時持って居た性格からです。その企画の内容が今までに無いようなユニークな物だったと書かれているだけでその内容が分かりません。なぜユニークな物を選んだかを考えて見ます。もちろん純一君だけが決めたのでは無くて、数名の仲間と相談して、一致した内容だったと一応理解して良いと思います。純一君が率先して数名の仲間を引っ張って、このユニークな内容を決めた可能性もありますが、それまで続けてきた高校内での挑戦を踏まえて考えるなら、そこまでの心のエネルギーを持って居なかったと推測します。

数名の仲間とユニークな内容の物を文化祭に選んだ理由として、高校内で生徒達が学校に不満を持っていた、学校のあり方に不満を持っていた可能性があります。それがなかったら、生徒達は自分たちで楽しめる内容にしたはずです。学校生活が楽しくて、その文化祭のテーマに学校が難色を示しそうな内容を選んだとしたら、生徒達にとても大きな挑戦の意思があったはずです。それは大人の心にならないと出来ない挑戦ですから、高校生の子どもの心に当てはめることは出来ません。

それまでの純一君は、それほど学校から否定されない挑戦を続けてきていましたから、文化祭で学校から否定されるようなユニークな物を選んだことに二つの可能性があります。
一つは、他の仲間からの要求で、それがユニークな物だったけれど、純一君はそれに乗ってしまった。他の仲間が学校に対する不満を、文化祭でユニークなものをえらぶことで表現しようとしたのに対して、純一君も学校に不満があったので、それを受け入れたのでしょう。
もう一つは、純一君自身が学校に不満を持っていて、その不満を文化祭のユニークな物として表現した可能性があります。他の仲間も純一君の不満を表現するユニークな物にのってしまった可能性、叉他の仲間はやる気が無くてすべてを純一君に丸投げしていた可能性も考えて置く必要があります。
どちらが純一君の文化祭への思いだったのか、決めることは出来ませんが、私はどちらかというと後者では無いかと思います。