ある男の子からの考え方 22

>母親は、先生に申し訳なくて、「学校に迷惑をかけてはいけない」と純一君を叱ります。純一君は「それなら高校をやめて働く」と言いました。母親もこの高校では息子のいいところを伸ばしてくれない、かえってだめになる、と退学に強くは反対しませんでした。

>母親は、先生に申し訳なくて
純一君は先生から苦しめられていたのです。母親は先生を責めるべきなのに、純一君を責めています。その理由として
1.子どもより大人を、先生を信頼する母親・・・子どもを信頼してないという意味になります。これだけでも子どもは孤立して、とても辛くなります。荒れたり問題行動をするようになります。
2.子どもの大学受験のために、現実に目をつむる母親・・・子どもの将来を心配しているのです。これは母親としてごく普通の母親の姿ですが、こころが辛い子どもにはとても辛い母親の姿です。
3.トラブルに巻き込まれるのを嫌がる母親・・・母親も心の問題を抱えている。
の三つが考えられます。多くの場合は2.でしょう。

>「学校に迷惑をかけてはいけない」と純一君を叱ります
本来なら純一君を守る必要がある母親が、純一君を責めたのですから、純一君は母親を許せなかったはずです。きっと母親に向かって荒れたはずです。然し荒れたことは書かれていません。

>純一君は「それなら高校をやめて働く」と言いました
純一君は担任から、学校から、母親に純一君を守って欲しかったはずです。きっと母親に不信感を感じていたはずです。その様な母親でしたが、鎮一君は母親のために、学校に変わる代案を出しました。それが働くと言う言葉でした。

>母親もこの高校では息子のいいところを伸ばしてくれない、かえってだめになる
この言葉から母親は純一君の学校につての思いを理解したように考えられます。然し母親の思いは大学に行かないなら、働きなさいと言う思いがあったはずです。母親に純一君が学校に行かないで、働かないで、辛い鎮一君の心を癒やして元気にしようという思いが無かったのです。つまり母親の純一君への思いを押しつける理由付けになっていたのでしょう。そして純一君はそれを感じ取って居たのでしょう。

つまり純一君は学校に行けないから、学校を止めたいと潜在意識で反応をしていました。然しそれだけでは母親から学校を止めさせて貰えません。そこで言葉の上では働くと言う条件をつけて、母親から学校を止めさせて貰ったのです。もちろん純一君は心底働きたいと思っていたのではありません。

>退学に強くは反対しませんでした。
母親の学校に行かないなら、働きなさいと言う思いは、純一君にうまく利用されてしまいました。純一君は母親の思いをうまく利用して高校を止めることが出来ました。然しこのときの純一君の心のエネルギーはマイナスですから、働くと言う社会へ向かっての挑戦は出来るはずが無かったのです。