大人の引きこもり 8

>「両親は勉強しろとうるさくいわず、伸び伸びと育ちました。弟も、高校に入るまではごくふつうの子どもでした」(美奈さん)
子どもがよい子を演じていると、親も周囲の大人も、その子どもがどれほど辛い心をしていたのか全く気づけないことがあります。この男の子も見事に良い子を演じ続けていたのでしょう。でもどこかで良い子を演じ続けることの無理が出ていたはずです。其れは書かれていませんから、この美菜さんの文章を読んだ人にも分かりません。ほぼ間違いなく、両親も気づいていなかったはずです。

不登校になった時点でどの様な対応がなされたのか分かりません。男の子の心に沿った対応がなされていたなら、もっと違った姿の男の子になったはずです。男の子を責める対応があったのかもしれませんが、あったとしたら20年後の男の子の姿になった可能性はありますし、もっと辛い状態の男の子の姿になっていたかもしれません。はっきりと言えることはこの不登校になった後に行われた男の子への対応で、男の子は家の中で自由に生活が出来るほどの心の元気さになったと言う事実です。その意味で最終的に男の子の心を元気にする対応がなされたことは間違いありません。

不登校になって20年経って、家の中に引きこもっている範囲では、普通の男の子の姿をしているけれど、家の外に出て行くだけの心のエネルギーを持って居ないという事実です。家の中の生活でこの心のエネルギーを高める対応が両親に必要です。子ども年齢だと、家の中で心が安定して生活をしているだけで、この心のエネルギーの増加が可能です。所が大人年齢ですと、この成長からもたらされる心のエネルギーの増加が期待できません。基本的に現状維持になります。その現状維持を打破するには、子どもが何か楽しいことを見つけるしか方法がありません。今の時代ネットに没頭することが多いようです。何か趣味を持てているならその趣味を発展させて、所謂お宅のような姿になるのも、心のエネルギーが増加してきた姿でしょう。

只これだけは親や周囲が求める就労という段階までの心のエネルギーの増加になるとは限りません。つまり趣味などで増加させた心のエネルギーが何かで浪費されていることに気づく必要があります。其れは次回に説明します。