大人の引きこもり 11

心が辛くて病院を訪れた患者への対応経験からの判断、および分析です。

現在の資本主義社会では、企業はお金を稼ぐ目的でできています。この現実を変えることはできません。ですから、企業に勤める限り、そこでそれなりのお金を稼がれる仕事をしなくてはなりません。そのために直接自分の楽しみとは関係ないことに、多くの場合楽しくないことに、多くの時間を費やさなければなりません。つまり仕事への適正がなくては、辛い時間に耐え続けて給料をもらうことになります。多くの大人はそれでその仕事に誇りを持ったり、家族のために耐えたり、他の楽しみを追求するために耐えているようです。

企業は人間の集団です。企業内では他人同士の密接な関係があります。そこで働く人にはいろいろな性格の人がいます。引きこもりから就労したことを理解する人もいれば、それを全く無視する人もいます。特にその企業が従業員にノルマを課せるような職場の場合、企業成績が良くなくて、業績を上げることを第一にしている場合、上司とその下で働いている人との間は優しくありません。上司から受ける要求で、引きこもりから就労した人はすぐに心のエネルギーを失い、就労を続けられなくなります。

この二つがない企業とは、慈善事業しかありません。慈善事業では利益が上がりませんから、どこかからのサポートが必要ですが、それができるのは公的なところしかありません。就労を支援する公的な組織です。そのような組織で支援に当たる人たちもお役人のことが多くて、規則に縛られていて、引きこもりから自立を始めたばかりの心のエネルギーが低い人の立場をその人に沿って理解して対応をしてくれません。

これらのことから、引きこもりの人が、家の外で元気に活動ができるようになったからと言って、いくら心が元気になってきたからと言って、就労に向かう難しさがあります。