先回り 1

子どもが楽になるように、子どもが便利なように、先々の準備をしてくれないのかという雰囲気が子どもにあります。母親がなぜもっと先回りするように動かないのか、子どもの希望(学校に行くための)を叶えるように動いて欲しいと言い、子どもがイライラします。登校刺激を与えないために、母親がどう対応すべきか悩んでしまいます。共感することを大事にしていますが、どうしたら良いか教えてください。

この解説をします。
子どもには心が三つあると考えてください。
一つは知識の心です。
二つは習慣の心です。
三つは情動(感情)の心
です。この三つの心は独立して機能をします。

ここで注意をしなくてはならない事は、

1)大人では情動の心は特別の場合しか機能をしないと言う事実です。ですから、大人では情動の心は無いと考えて対応を考えられます。大人では無意識に習慣から行動をして、必要なときには意識が機能をして、意識からの行動をします。記憶にはこの意識からの行動しか残りませんから、大人はいつも意識から、知識から行動をしていると理解します。しかし現実の大人の行動の多くは無意識からの習慣からの行動です。

2)子どもではこの意識の心からの行動は言葉になりますが、基本的に行動に表現されることはありません。この点の理解が難しいのです。子どもでは意識から、知識から、行動をしているように理解できるときがありますが、その時の行動も次に述べる情動からの行動です。子どもの行動の多くは習慣からの行動ですが、それと同じぐらい多い、叉はもっと多いかもしれませんが、情動からの行動で成り立っています。つまり子どもはいつも通りに生活をしているときは習慣からの行動ですが、いつもと違う行動をしているときは、子どもが何かを求めようとしている行動か、何かから逃げようとしている行動です。その際に発する言葉は、子どもの知識を表現しているだけです。言葉に沿って行動をして居るように見えても、それでも情動からの行動で、何かを求めようとする行動か、何かから逃げようとする行動のどちらかです。

この子どもの、大人とは異なる心の動き、それによる行動の違い、そして言葉が意味していることの違いをはっきりと認識して、子どもの問題を考える必要があります。この心の違いを踏まえて、子どもから言葉による要求への対応法を考える必要があります。

続きます。