カウンセラー

<質問>
母親を支える存在が必要と書かれていたが本当にそう思います。出来れば夫が支えてくれるのが一番ですが、気持ちのすれ違いからさらに孤立無縁を感じることも多くあります。男性は傾聴よりも問題解決を考えてしまう傾向がありそれがすれ違いの原因と聞いたことがありますが、私もそう思います。先生は男性なのでお聞きしますが、夫にどう伝えたら良いか具体的なアドバイスがあれば教えて下さい。夫も子供の幸せを一番に考えているのは同じです。

<回答>

>出来れば夫が支えてくれるのが一番ですが、気持ちのすれ違いからさらに孤立無縁を感じることも多くあります。
男性の多くは社会的に良い立場を、経済的に豊かな地位を、得るように母親から育てられてきた人が多いのでは無いかと思うのです。換言すると、夫の母親は男の子には良い学校、良い会社を求めて育てていた場合が多いと推測します。その結果優秀な夫ほど、企業戦士として優秀ですが、その結果として家事や育児に興味が無いだけでなく、それから逃げだそうとしているように思います。但し、この傾向は過去の日本で有り、最近はどうなっているのでしょうか?

>男性は傾聴よりも問題解決を考えてしまう傾向がありそれがすれ違いの原因と聞いたことがありますが
遺伝子的な性差として生じている可能性もないとは言えないのでしょうが、成長の過程で親からその様に育てられている(上記の企業戦士)という要素もあると思います。

>先生は男性なのでお聞きしますが、夫にどう伝えたら良いか具体的なアドバイスがあれば教えて下さい。夫も子供の幸せを一番に考えているのは同じです。
私がこのような活動をしているのは、職業柄企業戦士のようでなくて良いし、他の医者では経験していない経験をしたからです。ですから夫として答えるときには、一般の夫と同列におけないと思います。それを念頭に置かれてください。

つまり私の特別な経験から子供を育てることの意味を、そし母親の役割を母親の役割を身にしみて感じました。もちろん心が辛い子どもを守り育てる子育てです。その際に、母親を守ることは、結果的に私自身を守ることになる事に気づきました。

私の経験から今の活動をしているのですが、母親への対応をしていて、つくづくと感じるのは、心が辛い子どもを理解出来ない父親を不登校問題に巻き込むと、ますます母親が辛くなるし、夫婦の関係も悪くなり、それが 「現実的に」 不登校問題の解決を難しくすると言う事です。そこで私が対応をしている母親について、私が聞き役をしていますし、夫には家庭内で 「黒子」 の役割を御願いしています。黒子という意味は、母親と子供の家庭という舞台を陰で支えるという意味です。もちろん夫が聞き役になって貰えたら一番良いのですが、今までで母親が納得出来るような聞き役の夫に出会えたことがありません。これもきっと日本文化から来ていると思います。

最近は夫も子育てに参加していますが、子供の心が辛くなったとき、子供が母親を求めますので、いくら夫が母親役をやろうとしても、子供がそれを許さないようです。それでも子育てに参加してくれる夫は母親の辛い話を聞いてくれると思いますが、その様な家庭からの相談を受けることがないので、現実は分かりません。

私が知る現実は夫が母親の傾聴をしてくれないので、母親が私に相談に来ています。その様な夫を動かすのは大変に難しいです。かえって母親の負担になる場合が多い様です。ですから私が聞き役になっていると言う意味です。それでも多くの夫は傾聴という点以外で母親をその夫なりに支えていますから、私が聞き役になっている限り、夫を不登校問題に巻き込まないで黒子の役目だけを求めて貰うようにしています。