子供は全てよい子

子どもに限って成り立つ議論であることを、はっきりと申し上げておきます。子どもの心と大人の心とが異なるという事実からいえることです。

子どもの心が辛くないと、子どもはその本能から、自分に与えられた環境に順応しようとします。基本的に子どもが属する環境に問題になる行動をしないのです。もし子供が自分が属する環境に問題になる行動をしたときは、それは子供の経験不足からくる失敗なのです。その失敗から、子どもは次に同じようなことがあると、子どもが属する環境に順応するような行動をします。

子どもの心が元気なら、大人からの希望があっても、たとえそれが子どもにとって辛いことでも、それも子どもにとっての環境ですから、子どもの方で大人の希望に合わせようとしてくれます。特に母親からの希望は、母親自体が子どもにとって大きな褒章ですから、母親の希望をかなえようとします。親にとってとてもうれしい子どもの姿ですし、多くの人もこの子どもの姿を理解できます。素直に育っている子供の姿です。

ところが心が辛い子どもでは、大人からの要求が子どもにとって辛い場合、子どもが希望しないことの場合、子どもの心が辛いと言うことから、子どもの環境に順応しようとする本能は機能をしません。大人からの要求がとても辛いと言うことで、子どもの情動の回避系が機能をしてしまいます。逃げる、よい子を演じる、荒れる問題行動をする、心の病の症状を出す、のどれかの反応をするようになります。大人からの要求を受け入ないばかりでなく、大人にとって問題となる行動をするようになります。

このような子供は、子供として好ましくない、将来大人になった時が心配だとして子どもの問題行動を大人の力で押さえつけようとします。それはますます子供を辛くして、子どもの問題行動を強めるばかりでなく、その際につらさを生じる条件刺激を学習してしまいます。子どもを力で押さえつけようとする人に恐怖を感じるようになり、大人の目から見たらますます問題な子供になってしまいます。将来に向かう心のエネルギーを失ってしまいます。

余りに極論の様に聞こえるかもしれませんが、基本的に子どもにはわるいこどもはいないのです。大人から見て悪い子供と見える子供とは、それまでにこの辛さを生じる条件刺激を学習しています。子どもは大人と異なって、子どもの問題点を注意して直させようとするのではなくて、辛さを生じる条件反射を生じた結果だと理解して、辛さを生じる条件反射を生じさせないような対応をするひつようがあります。