学校に行くなと言わないで!

<相談>

高校3年生の息子についてです。新学年になってから全く登校しませんでした。
息子を安心して不登校にさせるために、母親は息子に学校は行くなと伝えていました。しかし最近は「もう行くなと言わないで」と言ってきて、休日の部活に行き、昨日と今日、午後から登校して行きました。
しかし、昨日迎えに行った車内で、「友人はみんな優しかったし、楽しかった。けどやっぱり無理して元気にしてしまってたと思う、きつかった。続けられるかどうかはわからないが、辛くても、今、行かなければ自分は後悔すると思う。だから、行くなと言わず学校に行くチャレンジする事を応援してほしい。」と泣きながら言いました。
母親は「わかったよ」とだけ伝えました。その後から、息子が泣きながらいろいろ辛い気持ちを話してくるのを、うんうんと聞き続けました。帰ってからは、既に不登校の弟と楽しそうにゲームをしていました。
今日、母親は仕事で家を留守にしなくてはならず、心配だったです。息子が学校を休んでくれたら良いのにと思いましたが、登校していました。息子の選ぶ道、黙って見守るしかない、と思いましたが、これで良いのでしょうか。

<回答>

>高校3年生の息子についてです。新学年になってから全く登校しませんでした。
今回の相談内容から、息子さんは不登校分類2だと考えられます。学校内にどのような辛い物があるのか分かりませんが、息子さんなりにその辛い物を解決する必要がありますし、御母様が息子さんを学校に行かそうとする対応(御母様の言葉と、息子さんを学校に行かそうとしない限り)をしない限り、今の御母様の対応で解決できそうです。

>息子を安心して不登校にさせるために、母親は息子に学校は行くなと伝えていました。
御母様がその言葉を息子さんに伝え、学校に行かせようとしなかったから、息子さんの心に学校に向かう心のエネルギーが貯まって来ているようです。

>最近は「もう行くなと言わないで」と言ってきて、
以下の息子さんの姿から、この言葉はよい子を演じているのではないと判断できます。しかし息子さん以外の多くの不登校の子どもでは、子供がよい子を演じていると考えた方が対応に間違いがないです。

>休日の部活に行き、昨日と今日、午後から登校して行きました。
>しかし、昨日迎えに行った車内で、「友人はみんな優しかったし、楽しかった。
>けどやっぱり無理して元気にしてしまってたと思う、きつかった。
息子さんは素直な自分を言葉にして表現しているようです。このMSGの内容から、息子さんはよい子を演じていないと推測されます。このように素直に自分を言葉や行動で表現できるためには、母親と子供との間に信頼関係がなくてはなりません。今までの母親の対応が息子さんを守る対応だったために、息子さんは安心して自分の感じ方を言葉にしています。大人の言葉と異なって、決して色々と試行錯誤をして考え出した言葉ではありません。また、素直に自分を表現できる心の状態になっています。

>続けられるかどうかはわからないが、辛くても、今、行かなければ自分は後悔すると思う。だから、行くなと言わず学校に行くチャレンジする事を応援してほしい。」と泣きながら言いました。
息子さんは学校内にまだ嫌悪刺激がありそうだと感じていますが、その嫌悪刺激以上に、学校に向かう心のエネルギーが大きくなっていることを、息子さんなりのそのときに持っている知識から母親に向かって言葉にしています。
何で泣きながら行ったのか、色々な可能性が考えられますが、少なくとも辛いとか、嫌だとかという意味ではないはずです。

>母親は「わかったよ」とだけ伝えました。その後から、息子が泣きながらいろいろ辛い気持ちを話してくるのを、うんうんと聞き続けました。
所謂傾聴(息子さんの言葉を合い言葉だけはさんで、聞くだけに徹し)して下さったから、息子さんは心にあること全てを表現してくれたと考えられます。この息子さんが過去のことを色々と話すことで、過去のことに踏ん切りをつけようと、踏ん切りをつけて良いと、理解したようです。その結果として、心がとても楽になり、新たな挑戦が可能になったと推測されます。

>帰ってからは、既に不登校の弟と楽しそうにゲームをしていました。
自分から積極的に楽しさを求められるようになっています。今の息子さんにとって、其れは学校内でも同じことが出来ると考えられます。

>今日、母親は仕事で家を留守にしなくてはならず、心配だったです。息子が学校を休んでくれたら良いのにと思いましたが、登校していました。
学校に向かう心のエネルギーが大きくなっていると考えられます。学校内の問題も自分で解決できるようになっていると考えられます。

>息子の選ぶ道、黙って見守るしかない、と思いましたが、これで良いのでしょうか。
息子さんは 「御母様との間にとても強い信頼関係が出来ています」 から、自分の心に素直に反応をして行動をするようになっています。これからは少々の辛いことがあっても、其れを自分で解決して成長をしてくれると考えられます。

この息子さんに当てはまらないのですが、あくまでも経験の範囲ですが、多くの不登校の子どもで、その子どもが学校に行きたいと言いだした時には、かなりの割合でよい子を演じている場合があります。そのよい子を演じていることを見抜けないで、子供の言葉通りに学校に行かせると、子供はよい子を演じ続けなければならないので、その後時間をおいて、子供の心がとても辛い状態になり、不登校問題を解決できなくなります。其れを防ぐためには、具体的な対応も大切ですが、その奥にある母親(母性)と子供(母親に守られたい)との間の信頼関係に注目する必要があります。その信頼関係の表現が子供の心のエネルギーの大きさになります。