子供の心2解説1

乳幼児の内にミラーシステムで身につけた情動(情動反応の仕方)とその間に身につけた習慣とが、所謂性格と言われているものです。習慣行動はその後の成長の過程で変わることが出来ます。実験が出来ませんが、情動を変えることは大変に難しいです。情動とはほ乳類が進化の過程で、その個体を守るための反応の仕方ですから、その子どもの情動を変えようとするとその子どもの存在の否定になるからです。また子供の情動も母親の情動をコピーした物ですから、変える必要がないのですが、何かの事情でそのコピーした情動が子供社会での生活に旨く適応できない物だった場合には、子供は子供社会のなかで、その子供社会に順応できなくなります。

子供が母親の情動をミラーシステムでコピーをして自分の情動として確立することを実験できません。しかし歴史上野生児という子供が数例見つかっています。この野生児とは、理由は分かりませんが、生まれ落ちてから早い段階で、他の動物に育てられた子供です。その様な子供が見つかって、その子供を人間社会に順応させる対応が成されましたが、野生児はその成長の過程で人間社会に順応できなくて死んでいます。

人為的に情動の一部(多くの部分ではない)を変えるには、条件反射という手段が可能です。詳しいことは後ほどいたしますが、子供や大人の情動を社会に順応する情動に変えるには、強力な接近系の報償が必要です。この強力な報償を利用して、社会的に不都合な情動を、社会的に好都合の情動に変化をさせることが出来ます。回避系の刺激を用いると、子供の情動が社会的に不都合な情動になってしまいます。その点も後ほど説明します。

上記の条件反射を利用しないで、子供の情動を変えようとすると、そのこと自体がその子どもの存在の否定になるからです。子供は生きていくことすら出来なくなります。この身につけた性格を変えるには、とても大きな喜び刺激が必要です。報償と表現します。其れを与えられるのは母親だけですが、そのためには、つまりとても大きな報償を子供に与えるには、母親が子供にとって大きな報償になるように、母親自体も大きく変わる必要があります。

ここでもう一つ大切なことは、子供は情動の一部として本能を持っています。本能自体は学習した物ではありません。胎児の内から成長に必要な本能が機能をして、生まれ落ちて生きて行かれるように、本能が機能をしています。未熟児でこの本能が機能をしていない子供では、子供の生命を守るために、医療の介入が必要になります。

つまり、子供の性格とは、子供の本能を含めた子供の情動、そのときまでに身につけた習慣をさしているようです。当然子供の性格は成長の過程で変化をしますが、上記の理由で、大きな性格の変化を期待できません。