嘘を言うのを止める

以下は、不登校の息子を持つ母親からのメールです。きっと素直な母親としての気持ちを言われていると思います。

**さんの言われる対応をしているお母さん方はきっと「学校に行くな、勉強をするな、今は楽しいことをしていなさい」と言われていると思います。**さんは、心からこの言葉を言える母親はほとんどいないけれど、少なくとも登校刺激を感じさせないために、御母様だけはこの言葉だけを言って、他のことは言わないのが良いと言われています。それでも母親の私には、それすら出来ないのです。きっと私の辛かった学生時代の経験、其れを乗り越えて、就職をして今に至っている私自身の人生がそれを許さないのではないかと思います。私が乗り越えられたのだから息子も其れを乗り越えて欲しいと言う思いをどうしてもすれられません。
このような母親の私ですから、息子が家の中に引きこもってゲーム漬けの怠けた生き方に見える生活を何年もし続けているのが、母親の私に未だに理解できないし許せないのです。その様な私が息子に「学校へ行かないで、勉強をしないで、家で楽しい事をして欲しい」と言ても、その裏にある本当は学校へ行ってほしいという私の思いが息子に伝わってしまうんです。きっと私がその様なオーラを出しているのではないかと思うのです。
オーラをなくすることを止めるにはどうして良いのか全く分かりません。その様に悩んでいると母親の私もとても辛くなるので、この言葉を言うのを止めたのです。この言葉は私にとって嘘だからです。この嘘をつき続ける私が、子供も自分も苦しめていくだけだと思ったから。そんな状態でいくら笑顔を作っても、だめだったんです。
あくまで私の経験です。だけど、本音を息子に話した結果で息子は吹っ切れちゃったのか分かりませんが、私も息子に言いたいことは言うし、息子も言い返す。でも今、不思議と息子も私も、前よりも穏やかです。

<解説>

このMSGから、息子さんは不登校分類3のお子さんだと推測されます。但し、学校に反応をして息子さんを辛くするトラウマ=FCRの反応が弱い、ひょっとしたらとても弱くて、心のエネルギーも既にプラスになっている子供ではないかと推測されます。息子さんがどのような不登校経験を続けて現在の姿になったのか、このMSGから分かりません。過去はどうであっても、現在の息子さんの姿は不登校でも、その心は不登校問題を息子さん自身で解決できる状態になっているのではないかと推測されます。

この息子さんについても、基本は「学校に行くな、勉強をするな、今は楽しいことをしていなさい」と言うのが良いですが、この息子さんのように、少々の登校刺激を受けてもFCRが反応をしない、反応をしてもその反応が弱く、他の接近系で打ち消させられる(このMSGにはどのような接近系が息子さんに関与していたのか分かりませんが、必ず関与していたはずです。其れも結構強い接近系のはずです。)この息子さんなら、この御母様の対応で悪くはないです。このMSGから言うなら、結果的に悪くはなかったという意味でしょう。果たして良かったと言えるかというと、其れは神様しか分かりません。

その様な意味でこの御母様の対応はこの息子さんについて、悪くはない対応でしたが、この御母様の意見、MSGを一般の不登校の御母様に当てはめるわけには行きません。不登校で地獄の苦しみをしている子供をまずその地獄の苦しみから救う必要があるからです。それが出来てくると、その不登校の子どもに対応をする母親の心を楽にしてあげて、不登校の子どもへの対応を楽にしてあげると、その母親は助かると思います。言葉ではこのように表現しても、実際の不登校の子どももその母親も苦しんでいます。そこで母親が苦しくても母親の対応で不登校の子供の心を少しだけ楽にして、その子供の姿でいくらかでも楽になった母親がより子供の心に沿った対応をして、子供の心をより楽にして、その子どもの姿から母親がより楽になるという繰り返しのことが大半です。何かをすれば一発で解決するという問題ではありません。あくまでも推測ですが、今までの御母様の対応で息子さんの心がここまで元気になってきたのでしょう。但しその過程は全く分かりません。

この子どもと母親との対応の繰り返しで、気がついてみたら子供の心が元気になってきていて、振り返って母親が自分の対応に納得するという場合を経験することが多いです。このMSGの場合、御母様がMSGを書かれた段階で、理由は分かりませんが、息子さんのFCRの反応が弱いという事実、御母様が今までどのような対応をなさっていらしていたのか分かりませんが、この時点で御母様が御母様なりの自我を出されても、それに息子さんが耐えられる心になっていたという事実です。それでもこの段階でも、御母様は息子さんを見ない、言わない、可能なら御母様の笑顔があれば、もっと御母様として喜べる息子さんの姿になっていくと推測されます。御母様も息子さんについて嘘をいうという罪悪感を感じなくて済むと思うのです。