大人の引きこもり 3

$2{大人年齢の引きこもり 但し子供年齢から引きこもりを続けている場合}

大人の引きこもりも、家の外にその人を否定するような物が無ければ、家の外に出る様になって、引きこもりを止めてしまいます。ただし、それだからといって就職するようになるかというと、そうではありません。自分を無条件で受け入れてくれる職場なら就職してくれますが、職場は一般に厳しいです。少しでもその引きこもっていた人を否定するようなことがあると、自己否定が強く機能をして、働けなくなります。

大人の引きこもりの人に社会的な自立、つまり仕事をして給料を稼いで貰うためには、職場を斡旋するだけは意味がありません。その職場に少なくともその大人の引きこもりの人を否定する物があったら、職場を斡旋してもすぐに止めてしまいます。却って引きこもりの問題解決を難しくします。叉職場にその引きこもっていた人を否定する物が無くても、その人は職場で否定される可能性を絶えず感じていますから、なかなか仕事を続けられません。

引きこもっていた大人が職場で働き続けられるには、その人を否定する物が無いばかりでなく、肯定する物が必要です。職場にその大人を肯定する物があると、その職場にその大人を否定する物があったとして、その大人を肯定する力がその大人を否定する力より大きい場合、その人はその職場で働き続けられます。社会的な自立が可能になります。大切なことは職場を提供するだけで無く、その職場がその引きこもりだった大人を肯定する物が無くてはなりません。その大人が楽しく働けるところである必要があります。

子どもの引きこもりでも、大人の引きこもりでも、一般の人が持つ常識的な対応が、一般の人から見たら引きこもりの子どもや大人に好ましいと考えらる対応でも、多くの例で引きこもっていた子どもや大人を苦しめてしまい、引きこもりの問題解決を難しくしています。それが現在の日本の引きこもりの子どもや大人の問題を解決できない理由です。引きこもりの子どもでも、引きこもりの大人でも、その 「引きこもりの問題解決はそれらの子どもや大人の心に沿って」 いなければなりません。そしてこの対応の仕方が今の大人の常識の中に無いという現実があります。

繰り返しますが、子どもの引きこもりの子供にも、大人の引きこもりも、どちらも引きこもりを止めさせようとする現在日本で行われている対応は、子どもの引きこもりでは登校刺激を、大人の引きこもりではその人への否定そして自己否定を誘発して、却って引きこもりを強めてしまいます。引きこもりを止めさえて社会的に自立した大人にしてあげたいと思う親や人々の気持ちはよく分かるのですが、そこでなされる対応が引きこもりの子どもや大人の心に沿っていないだけでなく、見かけ上の解決だけを急いでいる現状があります。その結果引きこもりの子どもや大人の問題を解決できないで居ます。