物理的エネルギー、心のエネルギー

このエンジンにガソリンを送って実際に走るときに使うガソリンが出す熱量が物理的なエネルギーです。自動車の走り方で使うガソリン料が異なりますから、物理的なエネルギーも異なってきますが、エンジンが出す実際の馬力も異なってきます。300馬力というのは可能性の目安です。そのエンジンにガソリンを送り込む量で実際に走る速度が異なる、物理的なエネルギーが異なってきます。

物理的なエネルギーとは自動車や体を実際に動かすエネルギー、単位はCalです。実測可能です。子供について言うなら、大きな力を出せるか弱い力しか出せないか、相撲取りは大きな力を出せますが、やせている女性は子供並みの力しか出せません。これが物理的なエネルギーです。

子供が元気で飛び回っているとき、そのとびっまわるためには物理的なエネルギーが必要です。しかしただ飛び回っているだけでは心のエネルギーはマイナスではないですが、大きいかどうかわかりません。その飛び回ることで何かを達成したいときには、その何かに向かう心のエネルギーがプラスだと表現できます。しかし以前より心のエネルギーが増えたとか以前より心のエネルギーが減ったとか言えても、その絶対量の表現は今のところできそうもありません。

心のエネルギーには方向性があります。ゲームを覚えようとする、ゲームをしようとする心のエネルギーと、お風呂に入ろうとする心のエネルギー、部屋を掃除をしようとする心のエネルギーとは、心のエネルギーという点では同一でも、方向が違うので、別の心のエネルギーです。しかし経験的にゲームをしようとする心のエネルギーがあると、他の風呂に入ろうとする心のエネルギー、部屋をきれいにしようとする心のエネルギーが生じやすくなりますが、必ずしも生じるわけではありません。

少し難しい話になりますが、情動が接近系なのが心のエネルギーがプラスです。情動の回避系が心のエネルギーのマイナスです。
たとえば幼稚園児ぐらいの子供がピアノを一生懸命弾こうとしています。子供ですから物理的なエネルギーは大人ほど大きくありません。ところがその曲を弾けるようになりたいと、自分からピアノに向かってピアノの練習をするとき、これは心のエネルギーが大きくプラスです。ところが同じピアノの練習でも、母親に叱られながら嫌々練習をしているときは、母親からの怒りを回避するための回避行動ですから心のエネルギーはマイナスになっている可能性が高いです。