母親
私は、息子が高校に行き渋りが出た時、無理やり行かせてました。学校と相談すると、息子が家に戻って来ないように、高校では特別室に行かせて、先生に監視して貰いました。母親が校門まで息子を連れていきました。そこから先生が息子を特別室に連れて行きました。朝、布団から出ないときは先生に家まで迎えに来てもらいました。学校から「来てない」と連絡があれば、息子のスマホに「今すぐ家に戻ってこなければ警察に捜してもらう」など、脅してまで学校に行かせようとしてました。
そのようにして息子を学校に行かせていたある日、トイレの中で立ちすくんでいる息子を見た時、顔が違ってました。『死ぬ程辛い』とは、大げさだなって思ってましたが、本当にそんな顔でした。息子はどこを見ているのか分かりませんが、死体を発見したような、お化けを見たような、そんな目をしてました。その日も校門まで連れて行きましたが、息子を先生に渡さないで、そのまま家に戻って来てから、私は変わりました。
親子共々学校とは関わらないようにしました。電話も着信拒否をしました。学校は怒って無断で自宅訪問をしてきました。それでも、家族一丸で息子を守りました。最後は退学手続きに私一人で行き、職員室の真ん中まで勝手に進み、大声で怒鳴りました。きっと先生も、息子ばかりでなく、母親もおかしいと思ったかも知れません。
普段、私は大人しく、人に逆らう人間ではないのです。あれは、息子を守ろうとした母性だったのかなぁって思ったんです。その日から1年経ちました。息子と私たちは、今は静かに暮らしてます。
<解説>
不登校の子供について、母性が機能をし出すのは、子供が地獄の中に落ちた場合が多いようです。ただし、子供が地獄に落ちても母性が機能をしないで、常識にとらわれている母親も居ます。子供の精神医学を信じ込んだ場合です。その場合には、子供は心の病の症状を出して苦しむことになります。子供は薬と病院で、その子供なりの将来を失ってしまいます。子どもの心について、今の精神医学はそのことを知りません。
不登校の子供の場合、子供が地獄に落ちる前に母親の母性が機能をする例もあり、子どもの心が元気になって、学校に行かないけれど、子供としての成長が可能になります。母親の母性が機能をしていないと、子供が地獄に落ちて、この症例のように、母親も地獄に落ちると、母親の母性が機能をして、母親と子供との間の信頼関係ができて、母親と子供とが一緒に地獄から抜け出せるようです。