理由は後付け

<msg>

大人の私の感覚では、好きなこと、やりたいことに、大人も理由を聞かれても困ると思います。理由は後付けです。やりたいから、やる。好きだから好き。嫌いなものは、嫌いですね。理由をいうなら、自分の心がそう言っているからです。
ただ子供を見ていると、少し感違いを感じていました。こどもには、理由はなくても意味はあるのですよね。こどもの行動には、すべて理由はなくても意味はありますよね。
私の子供は幼いころから、よく考えているように見えて、よく考えて行動をしているように見えて、大人の私には、なんだかよくわからなくなるのです。言葉と行動に矛盾をあまり感じないところも含め、こどもなのですが、その子供の姿から大人のようなときもあり、そうでないときもあり、時々わからなくなります。

<解説>

とても素直に子供を、そしてご自分を見つめていらっしゃると思います。

>大人の私の感覚では、好きなこと、やりたいことに、大人も理由を聞かれても困ると思います。理由は後付けです。やりたいから、やる。好きだから好き。嫌いなものは、嫌いですね。理由をいうなら、自分の心がそう言っているからです。
これは心が赴くままに生きる生き方ですね。これは子供に通じます。其れ以外に知識から、理由から行動を決定して行動し生きていく方法があります。これが大人特有の、他の動物にない生き方です。

>ただ子供を見ていると、少し感違いを感じていました。こどもには、理由はなくても意味はあるのですよね。こどもの行動には、すべて理由はなくても意味はありますよね。
これは子供特有の習慣行動、情動行動です。人間以外の動物に共通する行動の仕方、生き方です。

>私の子供は幼いころから、よく考えているように見えて、よく考えて行動をしているように見えて
その様にすることで親が喜ぶから、過去の行動の記憶、反応の記憶を思い出して、行動をしています。意識からの行動ではありません。過去の経験を利用した情動行動です。親のためによい子を演じていると表現しても良いでしょう。但し回避行動ではないです。親からの報償を得るためのよい子です。

>大人の私には、なんだかよくわからなくなるのです。
大人の行動の仕方しか考えない人には分かりづらいと思います。大人の行動の多くは思考行動と習慣行動であり、情動行動をしないようにして居ます。意識的に情動行動を調節しています。

>言葉と行動に矛盾をあまり感じないところも含め、
報償を得るためのよい子を演じている姿ですね。

>こどもなのですが、その子供の姿から大人のようなときもあり、そうでないときもあり、時々わからなくなります。
大人のようなときとはよい子を演じている子供の姿です。そうでないときとは素直に情動に従って行動をしているときです。どちらも情動行動なのですが、大人にとって都合が良いときと都合が良いと理解できないときです。都合が良いと理解できない時には、子供として大人が看過できる場合と、問題行動として看過できない場合とがあります。

どうだった?

>息子が隣に来て「昨日(自分が)帰ってきたときに"どうだった?"って聞かなかったよね。なんで?」と聞かれました。
息子は既に、常識的な母親なら、このようなときに何というか知っていたのです。常識的な母親なら、試験の結果によっては息子を励まさなければならないと考えることを知っていたのです。ところが母親は試験のことを聞かなかったので、母親が常識的な母親でないことを確認しようとしていました。
何故息子が常識的でない母親を確認したかったのか、其れはこの時点まで非常識にも受験を応援しないで静かに待っていてくれた母親に、息子の心がどれだけ助かったのか、安心して受験に向かわれたか、感じ取っていたからでしょう。そして共通試験ですら、息子のしていることを信頼して待ってくれていたという母親の事実を確認したのだと思います。

>「いやぁ、全然なんにもわからないからさぁ。聞きようがないっていうかねぇ」と答えると、
息子はきっとこの答えが母親の本心だとは思っていないと思います。試験のことを母親は分からないと言っていますが、其れは母親のその場でとっさに出た、息子を信頼し続けていたと言う母親の思いを、この言葉でごまかした母親の方便だと思います。息子の挑戦を母親の思いを入れないで、認め続けようとしていたのです。けれど、息子はそのことを感じ取って、

>「理由はどうであれ、"どうだった?"って聞かれなかったのがすごくよかった」と言って
息子の挑戦を全てそのまま認めようとしている母親を感じ取って、その母親に有り難うと言っているという意味だと思います。

>自分から私が帰宅するまでにやっていた1日目の自己採点のことや試験のこと、夕食の後は2日目の自己採点のことを話してくれました。
母親の方から共通テストのことを聞かなくても、息子の方から話したくて、話しているという意味です。信頼関係があると、子供の方から母親の方に話してくれるという意味です。だから母親は結果を聞かなくて良いという意味です。

皆様ならこの後どのような対応をなさいますか?

ある不登校の子どもを育てている母親からの相談のメールです。この後、皆さんならどのような対応を子供になさいますか?

不登校の子どもに受験の話をしてしまい、途中からドアを閉められ 返事もしなくなりました。もう一度、ご飯の事を聞きにいったらドアを開けて、突き飛ばすように蹴られました。
言い訳ですが、心がブレてしまいました。もしかしたら、受けるだけ受けたいのかもしれない、と思ってしまいました。
結果は 最悪になりました。取り返しがつかない事をしてしまいました。

共通テスト

ある母親から頂いたメールが他の不登校の子どもの母親達に参考になるので、記載したいと思います。

<メール>

息子は19歳。小学校5年生から不登校です。家の中で暴れてガラスを割ったり、壁に穴を開けたりしました。一時は幻聴や幻覚があり、精神科で境界型と診断されて、クスリを飲んでいました。しかし母親は納得がいかなかったので、あるカウンセラーの指導で、13歳頃から子供が母親は昼夜逆転の生活、風呂には入らない、髪は肩まで伸びて、常識ではとても許せないような姿でした。ゲーム漬けになることをそのまま認めていましたら、やがて色々な問題症状や行動はしなくなり、ただゲームとネットの没頭するようになりました。ところが一昨年ぐらいから其れを突然止めて、塾に通い始めました。なぜだか分かりませんが、某大学に行きたいと言いだしたのです。母親は大学に行かないで、家でゲームやネットを楽しむように言い続けましたが、息子は其れを振り切って、髪の毛をバサッと切って丸坊主になり、その後塾通いを続けていました。

息子は昨年夏に大検に合格し、今年は大学を受験すると言って、共通テストを目指していました。今回「共通テストを受けに行く」との言葉通りに、力強い足取りで玄関を出て共通テストを受けに行きました。1日目も2日目も、私が頼まれたのはご飯を炊いておくことと水筒を用意することだけでした。朝とお昼に食べるおにぎりを息子は自分で作りました。台所でおにぎりを握って食べる息子と並んで水筒を用意しながら、息子が出かけるまで楽しい時間を過ごしました。

2日目、私は息子よりも後に帰宅したのですが、すぐに食事の用意に取り掛かると、そのうちに息子が隣に来て「昨日(自分が)帰ってきたときに"どうだった?"って聞かなかったよね。なんで?」と聞かれました。「いやぁ、全然なんにもわからないからさぁ。聞きようがないっていうかねぇ」と答えると、「理由はどうであれ、"どうだった?"って聞かれなかったのがすごくよかった」と言って、自分から私が帰宅するまでにやっていた1日目の自己採点のことや試験のこと、夕食の後は2日目の自己採点のことを話してくれました。

2日間のテストの結果は本人にとって納得のいくものだったようで、「これで足切りには引っかからないから、明日から二次試験に向けて問題を解くマシンになる!」と言いました。また、「今日着ていた服、全部洗って。リュックも。禊ね、禊。髪もちょっと伸びてきたから短くする(=すっかり坊主頭)!」「共通テスト向けの教材を整理したいから手を貸してもらえる?」と、共通テストモードから二次試験モードへの切り替えをしていました。

息子のおしゃべりを聞いていると、受験勉強を通して得た知識や、受験のための手続きや、模試や受験当日のあれこれのすべてを通して、たくさんのことを考えて自分のものにして、ちょっとした失敗からも教訓を得て、成長していることがよくわかります。本当に元気になったんだ!と思いました。

二次試験まであと40日だそうです。1月23日から二次試験の出願が始まるとのことで、「そんな先なの?!忘れそうだね」と言ったら「忘れるわけないでしょ!毎日出願のこと考えてるんだから!」と笑われました。これからも全部息子に任せて、私は「要求されたことを笑顔で100%だけ叶える。見ない、言わない、笑顔」を続けます。

このままで良い?2

<質問>

息子は不登校になって3年になります。学校と一切の関わりを取り除いて、ゲームやネットを好きなだけさせています。息子は昼夜逆転を止めて家の中ではとても元気です。しかし外に行く気配がありません。これがいつまで続くのか不安になります。このまま一生引きこもりのままになってしまわないでしょうか?

<回答>

ゲームで心のエネルギーを大きくした子供、ネットで心のエネルギーを大きくした子供は、その心のエネルギーをゲームに注ぎ続ける子供は、その心のエネルギーの大きさから、大人になっても社会的に、経済的に自立してくれます。ところが心のエネルギーが貯まらない状態で大人になってしまうと、その大人は子供に見られたような自発的な心のエネルギーの増大はありません。その結果、良くて現状維持になります。

引きこもり、ニート、フリーターの大人は、周囲の大人からの手助けがあっても、なかなか社会的に、掲載的に自立が出来ません。其ればかりでなく、周囲から就労を要求されると、其れは不登校の子どもについての登校刺激のように機能をして、それだけで心のエネルギーを奪ってしまいます。不登校の子どものような楽しみをしていても、所謂オタクというような楽しみをしていても、就労刺激がその人の心のエネルギーを奪ってしまいます。ですからその人が就労刺激と感じないような方法で、就労に持って行く必要がありますが、そのことについては省略します。

不登校の子どもを持つ母親達は、自分の子供が大人の引きこもり、ニート、フリーターになってしまうことを心配しています。心配すること自体が不登校の子どもに伝わってしまい、子供は安心して楽しいことに没頭できません。其れは子どもの心のエネルギーの増加を阻害してしまいます。その結果、子供が大人になったときに引きこもり、ニート、フリーターの姿になってしまう可能性が高くなります。母親は自分の子供を無条件で信頼する必要があるという理由はここにあります。不登校の子どもについて、母親が納得できなくても、母親が登校刺激を取り除き、子供を信頼しているというMSGを子供に送り続ける必要があります。

不登校の子どもは登校刺激が無くなるだけでその子どもなりにゲームなどの楽しさに没頭できるようになります。心のエネルギーを高められるようになります。母親は子供を無条件で信頼しているというシグナルを送るために、子どもを見ない、子供に言わない、母親の笑顔、を続ける必要があります。それでも母親は子供が昼夜逆転をして、ゲームばかりに、ネットばかりに、漫画ばかりに、没頭している姿に耐えられなくて、果たしてこのままで良いのかと心が揺れ動くようです。その揺れ動く心を支えられるのは、現時点では、自分の子供の不登校問題を解決出来た母親しか居ないようです。自分の子供の不登校問題を解決出来た(もっと正確に言うと解決の方向に向かっている)経験を持つ母親達の親の会(当方では検討会)に、話を聞くだけでも参加なさると良いと思います。

このままで良い?

昨日の検討会である母親から話題の提供がありました。

<質問>

息子は不登校になって3年になります。学校と一切の関わりを取り除いて、ゲームやネットを好きなだけさせています。息子は昼夜逆転を止めて家の中ではとても元気です。しかし外に行く気配がありません。これがいつまで続くのか不安になります。このまま一生引きこもりのままになってしまわないでしょうか?

<回答>

この問題を考えるとき、心のエネルギーに注目する必要があります。心のエネルギーは、体を動かす物理的なエネルギーと異なります。意欲という言葉に置き換えるとほぼ間違いがありません。心のエネルギーとは情動の接近系です。不登校での登校刺激のような回避系の刺激が加わっていますと、それらは相殺されて心のエネルギーはマイナスになるかプラスでも0に近くなります。心のエネルギーの効果は少なくなります。積極的な動きが少なくなります。

不登校の子どもの心のエネルギーは、マイナスの登校刺激が無いと、登校刺激が無いと、プラスの心のエネルギーが自然に増加していきます。これは大人には無い、子供特有の現象です。きっと成長することと関係していると思われます。
の結果子供は心のエネルギーを注ぎやすいゲームやネットに注ぎ、その注ぐことでますます心のエネルギーを大きくしていきます。

心のエネルギーには方向性があります。ゲームで心のエネルギーを大きくした子供、ネットで心のエネルギーを大きくした子供は、その心のエネルギーをゲームに注ぎ続ける子供、ネットに注ぎ続ける子供もいますが、ゲームやネットに心のエネルギーを注いでいる間に、其れ以外の方向に今まで貯まった心のエネルギーを注ぎ出す子供が多いです。どの方向に心のエネルギーを注ぎ出すのか、其れは子供の経験に依存しているようです。ゲームに没頭している間に、ネットに没頭している間に得たヒントで、今まで貯まった心のエネルギーを洪水のように注ぎ始める子供を数多く経験しています。其れを機会にゲームやネットを止めてしまう子供が多いです。この子供の姿を、ゲームを卒業した、ネットを卒業したと私は表現しています。

このように子供の場合にはゲームに、ネットに没頭することで、ゲームを卒業し、ネットを卒業して、其れまでとは異なった方向に、大きな心のエネルギーを持って没頭するようになります。その様な子供の中には、その心のエネルギーを勉強に向ける、進学に向ける子供が出てきます。その様な子供には登校刺激は大きな心のエネルギーで帳消しになってしまいますから、普通の子供、またはそれ以上の意欲を持った子供として進学に向かって行ってくれます。前回の大学共通試験で書いたような子供が出てきます。

大学入学共通試験

中学校から全く学校に行っていなかった子どもと、中学校の2年生から全く学校に行っていなかった子どもが、今回の大学入学共通テストを受験しました。一人は去年の夏に、もう一人はこの秋に、大検に合格してから、その後に受験のための勉強を始めました。毎日勉強道具を入れたバッグを背負って、塾や予備校に通いました。受験のための成績はどんどん伸びて、今回は試しに受験をすると言っています。二人ともある職業に就きたいと希望をしています。その職業に就くためにはその国家資格を取るための大学に入学する必要があります。

中学時代は荒れまくって、両親は大変に苦労をしました。地獄のような経験だったと言っています。不登校になって、ゲームやネットに没頭した二人の姿を見て、両親は荒れまくって死んでしまうより良いかと思って、昼夜逆転、食事などの日々の生活の乱れをそのままさせて、ゲームやネットに没頭させ続けました。

その内の一人は、義務教育年齢を終わった頃から表情や行動が生き生きしてきたと両親は言っています。それでも生活は同じように続いていたのですが、2年前ぐらいから、突然将来**になりたい、そのために大学に行くと言って、自分で塾を探して、大学受験のための勉強を始めました。初めのうちはなかなか成績が上がらなくて、焦っていたようです。母親は必死で勉強を止めさせようとしましたが、其れを押し切って塾に通い続けました。其れは短期間で終わって、子供は熱心に塾に通い続けました。そして今回の大学入学共通テストだったのです。母親はその結果に期待をしていませんが、子供の要求をそのまま認め続けたようです。

二人の結果がどう出るのか、分かりません。母親達も全て子供に任せています。今回の大学入学共通テストを受けるまで、どうやったら勉強を止めさせられるか母親達は相談のメールをくれました。二人の子供はそれぞれ母親達の勉強を止めさせる対応を無視して勉強を続けました。その結果母親達は子ども達の勉強を止めるのを諦めて、子ども達の要求だけを叶える対応を続けていました。