「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪 18

大人の引きこもりの対応法を述べていると、多くの不登校引きこもりの子どもを育てている親から不安の思いが寄せられています。今は子どもでも後何年かすると大人になるから、その時のことが心配だと訴えてきています。成人の目安は20歳ですし、それが法律的に引き下げられてきています。

自分の子供の将来が見えないのは、不登校にならないで学校に行き続けている子どもも、不登校で家に引きこもっている子どもも同じです。ただ、学校に行っている子どもは、多くの人の例を見ることが出来ますから、親が将来が見えると思い込んで、安心しているだけで、それが自分の子供に当てはまるという保証はありません。

最近の脳の研究から言うなら、脳が大人と同じように完全に成熟するのは30歳ぐらいになってからのようです。TEDの講演会でその筋の研究者が述べています。
不登校の子供の観察から言うなら、自分の意思で自分なりの行動が出来るようになるのは20歳台に入ってからです。情動行動が消えて殆ど全ての行動が習慣行動か意識行動になるには20歳台の後半のようです。20歳台は移行期のようです。

ですからここで言う、不登校から引きこもり、ニート、フリーターになった大人とは30歳ぐらいからで良いのでは無いかと思います。20歳台は移行期、まだ子供としての本能も機能をしている段階では無いかと思います。

子ども年齢の本能は情動からですが、大人の意思の機能を持っています。本能は意思と違って変更は出来ません。大人の心への移行期では子どもよりも本能の機能が弱まってきていますが、その弱まりを補うのがその大人の意思です。つまり子ども時代から大人年齢になり、心として大人の心への移行期であっても、しっかりとした意思を発揮できるなら、それは子どもが自分から社会に向かって動こうとするのと同じことになります。その大人も自分の意思から社会に向かって動こうとします。只少しずつ動き出す子どもや大人は少なくて、動き出すと爆発的に動くようになりますから、その時期がいつ来るのか予測できません。