心の基本に戻って 1

動物の脳内に微小電極を突っ込んで電気刺激してみると、接近行動を示す部分と、回避行動を示す部分と、全く反応を示さない部分があります。この電気刺激を人間で行うことは出来ません。人間の子どもの行動を観察すると、何かを得ようとする行動と、何かから逃げようとする行動と、何もしないでいる場合とがあります。人間の子どもでも同じ事が起こっていると考えられます。

動物の大脳新皮質でも、大脳辺縁系でも、このような反応が起こることは、少なくとも大脳辺縁系の機能として、つまり情動には接近系と回避系があることが分かります。それ以外に無反応という反応の仕方がありますが、反応がないのですから、反応として考えなくて良い、敢えて考えるなら、情動は反応をしなかった、何か情動を生じるような刺激がなかったと言う意味になります。

大脳の新皮質の機能は情報の処理、記憶の保存、獲得した皮質反射=習慣行動ですから、習慣行動に接近系と回避系があると言う意味です。記憶そのものが動物の行動を起こしませんから、記憶から生じた習慣行動に接近系と回避系があると言う意味になります。

習慣行動は、受けた刺激から生じます。その動物にとってある刺激が皮質反射として接近行動になり、ある刺激が皮質反射として回避系になます。この皮質反射は基本的に皮質反射として行動に出るだけですから、情動のように敢えて接近系や回避系と考えなくても理解できます。只単にある刺激がある人では接近系の行動を起こし、ある人では回避行動を起こす、とだけ考えれば良いです。その人の性格として考えれば、わかりやすいし、叉それだけで十分です。

情動の接近系、回避系は身体症状を出し、命に直結しますから、情動行動は接近行動、可否行動と考えるだけでなく、一緒に生じている情動そのものを考える必要があります。そして人間の子どもは言葉を発しますが、言葉からの行動は出来ないかとても下手です。殆ど全ての行動は情動行動ですから、子どもの行動を考えるときは、その時働いていた情動を考えて理解をする必要があります。