女の子の自殺 2

自殺をして死んでしまった人から自殺をする前の思いを聞くことは出来ません。しかし、たまたま偶然に助かった子どもの話を知ることが出来ています。そこには私たち大人が感じる死の深刻さが、死の意識が全くなかったのです。

この女の子も自殺をする方法は知っていたはずです。死も他の動物などの死を見ていて知っているはずですが、死ぬときの自分が経験する苦しみのことは知らなかったと思います。そして物語などから死後の世界があると知っていたはずです。それはきっと大人が知っている地獄の世界では無くて、天国の世界だったのでは無いかと思います。その天国に行ってみたかっただけだったと思われるのです。天国に行って帰ってこれるか、帰ってこれないか考えていなかったはずです。兎も角自分のいる地上が辛い、地上に帰ってくることに少しも魅力を感じていなかったのでしょう。

この女の子、家を出ると学校に向かわないで、別の道、雑木林の方向へ向かったはずです。その時の女の子に、特別変わった姿は無かったはずです。只どこかへ出かけようとしていた姿だったはずです。それ故に周囲の人、行き違った人なども、この女の子の異常に気づきませんでした。

つまり、この女の子の日々はとても辛かったはずです。家を出てから、この女の子は淡々と行動をしていたはずです。つまり辛い日常の思いと、これから何かその辛さを回避できる、忘れられる所に行ける喜びとが相殺して、ある意味で無心の状態だったのではないかと推測されます。ですから他人からは異常と見られなかったはずです。

首を吊る方法は、テレビやネットで子供たちも知ってます。子供の自殺では、首吊り、飛び込み、飛び降り、薬、リスカです。これらは子供の知識の中にある、地球以外の場に逃げる方法なのでしょう。大人の言葉で言うなら、現実逃避に相当します。

このように私はこの女の子の自殺を考えています。この私の考え方がこの女の子の心を代弁しているなら、女の子の周囲の大人は、女の子の自殺を予見することは出来ません。女の子が自殺をしてはじめて自殺をしたことに気づくのですが、なぜ女の子が自殺をしたのか、その理由を知る手がかりすら気づけないのです。その結果子ども達の自殺を予見できないし、防ぐことも出来ません。子ども達の自殺が繰り返されてしまい、大人はその子どもの自殺を事実として知るだけになってしまいます。