子供の心1解説4

>「大人の心と子供の心は異なる」という事実

意識の心:頭頂葉から側頭葉にかけての記憶領野と前頭前野
     意識とはまだよく分かっていないけれど、言語化が必要です。
     記憶から言語化が可能ですし、運動連合野に情報が送られて、意識に     相当する行動をすることが可能
     
習慣の心:体の内外から送られてきた感覚情報から、運動連合野、運動野から反     応をする反応の仕方。子供では経験不足から、ここの情報が少ない。     練習をすることで増やすことが出来る

情動の心:大脳辺縁系の機能。感覚情報は扁桃体から大脳辺縁系や脳幹に送られ     て、体全体に情動を表現する。この情動を意識した時に感情と表現さ     れる

これらの三つの心は基本的に、独立して機能をします。機能をした結果他の心に情報を送って、他の心を機能させることが出来ます。それ故にどの心が機能をして、その機能をした結果が次のどの心を機能させるかと言うことが、心を考える時にとても大切なことです。

例えば体の内外からの刺激情報は一つの具体的な感覚情報として認知(反応の単位として脳に取り込まれたという意味です。まだ意識をされていません。)されて、まず習慣の心に送られて、今まで身につけていた習慣から反応を始めます。この刺激を受けてから反応を始めるまで極めて短い時間なので、これを皮質反射という場合もあります。多くの大人の日常の行動はこの皮質反射で成されています。子供でもこの皮質反射の割合はとても大きいようです。

認知された感覚情報は扁桃体で評価されて、大脳辺縁系や脳幹から、情動反応を生じる情報が作られて、それに基づいて、自律神経を介して体中に情動が表現されます。体中の臓器に色々な変化を生じます。その体中に表現された情動を、意識的に理解した時に、其れを感情と言います。人が感情を理解するには、刺激を受けて、刺激を認知して、かなり時間がかかります。
情動は前頭前野前方から、前頭前野と運動連合野に送られて、情動からの行動をすることが可能になります。子供の行動の多くはこの情動からの行動=情動行動です。

認知された感覚情報から、記憶野の色々な記憶が追憶されて、その記憶が前頭前野で加工されて(思考という)、意識的に認知した情報を意識できる(この場合の認知という脳の機能を認識と表現する)とともに、意識した結果を運動連合野に送って、意識からの行動を可能にします。

ここで注意をしなければならないのは、刺激を受けてから習慣行動を起こすまでの時間は何ミリ秒という単位です。それからやはり何ミリ秒化ぐらい遅れて、情動からの行動を生じるようになります。情動からの行動が開始しますと、習慣からの行動は消失してしまいます。刺激を受けてから刺激を意識するまでに0.5秒ぐらいかかります。ですから人が受けた刺激を意識した時、世の中は既に0.5秒先に進んでいます。そして意識した内容から行動をする時には、その刺激を受けて直ぐに行動したとにんしきしていても、実際は1秒近く経過しています。人間の実生活ではこの時間の遅れは問題になることはありませんが、自動車の運転や、野球の選手などは、大きな意味があります。