子供の心1解説5

>「大人の心と子供の心は異なる」という事実

脳の構造と機能から、
意識の心:経験と言葉で学ぶ知識から発達していきます。教育の目的です。
習慣の心:体の動きからの経験で発達していきます。
情動の心:幼児期には、ほぼ完成していると考えて良さそうです。
知識としての記憶は、意識の心の機能から作られます。習慣の心からの経験、情動の心からの経験は、その内容が意識の心で認識されない限り、潜在意識であり、記憶に残りません。

大人の心と子供の心との違いの大きな点の一つは、子供では既に大人と同じ情動の心を持っていることです。子供の心は、意識の心と習慣の心は発達過程にありますが、情動の心は既に完成していて、大人と同じ機能をしている、状況によっては大人以上に機能をしている場合もあるようです。

もう一点大人の心と子供の心との違いは、大人では意識の心と習慣の心が主として機能をしていて、情動の心は意識の心で調節されていて、見かけ上機能をしていないように見えるという事実です。それでも大人の生活の中で生じる情動は、感情という概念で、意識の心で処理をされているようです。

普段の大人の日常生活の多くは習慣の心から成されています。習慣の心で生活に不自由を生じた時に、意識の心が機能をしだして、意識的に問題を解決しようとしているようです。そしてその意識をした時点が一時記憶に、時には永久記憶に、残っているようです。

それに対して子供の心は、意識の心は言葉として表現可能ですが、意識の心からの行動が出来ないかとても下手だという事実です。子供の行動の多くは習慣の心からと情動の心からです。子供はまだ社会経験が少ないので、習慣の心の情報は多くありません。しかし習慣の心からの行動もあります。大人から見たら、何かするのになれた子供とか、良くしつけされた子供と理解できると思います。そして其れ以外の行動は情動からの行動、情動行動です。辛さを避けるための行動か、母親から褒められたいという行動です。一見意識行動のように見えても、それでも母親からの、母親に相当する人からの、何かご褒美を求めるための行動です。

これを平たく言うと、大人は理性的な行動をしますが、子供は感覚的な行動をして、理性的な行動は出来ないか下手です。しかし子供も子供のうちから理性的な行動の練習をしておく必要があります。そのために子供が大人の理性的な行動と同じ行動をした時には、母親からの愛情を含めたご褒美をあげて、大人の理性的な行動に相当する行動をする練習をさせた方が良いです。母親からの愛情を含めたご褒美がない状態で、大人の理性的な行動を求めた時、子供はよい子を演じる(詳しくは後ほど)ようになります。よい子を演じられなくなると、問題行動をするようになります。

きっとこの大人の心と子供の心の違いを理解できる人はそれほど多くないと思います。