子供の心と大人の心と異なる

心は脳の機能であることを前提とした議論です。
脳は動物の進化と共にその機能をする脳の部分を広げています。
その結果として脳は脳の部位により機能分化をしています。但し、未だ完全に分かっていないので、今まで分かっていることから脳の部位について述べてみます。
1)大脳辺縁系:情動(感情の源)
2)後頭葉:視覚情報処理(直接心という意味は無い)
3)頭頂葉と側頭葉:記憶(空間記憶;頭頂葉意味記憶;側頭葉)と感覚(中心溝後部)
4)前頭葉:運動(中心溝より前部にある運動野)と思考(前頭前野

これらの脳の内で前頭前野の意識活動だけは、思春期を過ぎないと機能をしないようです。なぜだか分かりません。しかしそう考えないと、子供の行動を説明できないのです。意識活動とは
1)記憶されている記憶の処理の仕方から、ある記憶を新たな別の記憶に作り直して(思考)、その新たな別の記憶を用いて活動をする仕方を言います。
2)この新たな別の記憶から活動をするために、予め情動活動(大脳辺縁系からの活動)を押さえてしまい、外見的にはその時生じるべき感情を生じさせないようにできます(感情を調節できます)。

それを時間系列に見ていきますと、脳が情報を受けると、瞬間的に、運動野にあるそれまで身につけていた運動形式から習慣運動を開始します。それとほぼ同時に大脳辺縁系から、情動(感情的な)行動に置き換わります。大人では、それから0.5秒ぐらい遅れて、意識行動が置き換わります。それ故に結果的に意識行動が前面に出てきます。子供ではこの意識行動や感情の調節機能がありません。子供で意識行動の様に理解できる子供の行動でも、情動行動なのです。但し子供では意識行動がなくても、その意識の結果を言葉にできますから、子供の言葉と子供の行動との間に乖離を生じます。そのことから、子供が嘘をつくと理解する大人が多いです。

つまり、子供の行動は習慣行動と情動行動で、子供の持っている性格から、子供の周囲に対して反応をします。子供の言葉は子供の理解又は知識を表現していますが、その言葉通りに行動ができません。子供には意識行動はないと理解した方が、子供の行動の説明ができます。それに対して大人は主として習慣行動で周囲に対して反応をして、習慣行動で周囲への反応がうまくいかないとき、意識の心が機能をして、意識行動をします(大人は習慣行動と意識行動から、その行動は成り立っています)。大人の情動行動は習慣や意識に押さえられていて、表現されるときは特別の場合しかないようです。

このように大人と子供の心に違いがあります。けれどこのように難しく考えなくても 「子供は子供の持っている性格(感性と習慣)から行動をする(子供によっては大人顔負けの感性を発揮したり、行動ができる子供がいます)。言葉は子供が持っている知識であり(大人顔負けの知識を発揮する子供がいます)、大人と異なって、言葉通りに(子供が大人になるまで、大人の心になるまで)行動はできない」 と、理解しておくだけで大丈夫です。