ある質問(1)

>子供が大人の判断に合わせて行動をする場合、子どもの心は辛くなります。
人間のの行動には、意識行動、習慣行動、情動行動の3種類があります。
意識行動は人間の大人にだけできる行動の仕方です。子供では思春期を終えた頃から急激にできるようになります。所謂大人の行動です。しかしそれでも情動行動との区別が難しいことがあります。
習慣行動は大脳皮質反射からの行動です。その時までの経験からできあがっている行動です。意識や情動(感情)を伴いません。大人の日常生活の中での行動の多くはこれです。

情動行動はほ乳類に共通の行動の仕方で、大脳辺縁系の情動から行動をします。子供が幼いときの行動の仕方の大半は情動行動です。所謂子供の行動です。成長に伴い習慣行動が増えていき、思春期を超えて脳が大人の機能をし出すと、意識行動が現れて、意識により情動行動が現れなくなります。所謂大人の行動です。

その辛さを母親で癒やされる限り、子供は心が元気な子供として、大人の判断に従い、大人の要求に合わせてくれます(よい子を演じ続けてくれます)。その経験は大人になって、同一の状況下になったとき、反射的に行動ができるようになります。子供の性格に組み込まれていきます。つまり、心が元気な子供は色々な大人の判断や要求に応えることで、その子供の色々な経験が子供自身の性格を発展させることができます。

上記の様に主な子供の行動は情動行動です。情動の接近系からその子供なりの情動行動をします。子供が大人の判断に合わせて行動する場合、子供はその子供なりの情動行動(接近系)ができません。情動の接近系が阻害される(子どもの心を否定されると)と即座に回避系が機能(心が辛くなった状態)をして、回避行動を始めます。

回避系が機能をしだしたときに、母親が存在すると、母親の存在が子供の本能で強力な接近系になり、回避系は相殺されて、回避系は機能をしません。その結果子供は大人の要求を認めたように機能をします。相殺される程度によって異なりますが、習慣行動として記憶されます。学習の一つの形になります。

>母親の目の前の子供の姿は本当の姿だと言うことです。
上記の様に、子供は周囲から受けた刺激に、反射的に行動(習慣行動)をするか、その刺激で生じた情動の接近系で情動行動をします。これが子供の成長のために必要な行動の仕方です。ですから母親に守られて、子供の本能を含めた接近系が機能している子供の姿が、子供のほんとうの姿になります。これらが子供の本当の姿からの行動だと表現が可能です。子供に情動の回避系が機能をすると、子供はその刺激から逃げようとしますし、よい子を演じますし、荒れたり問題行動をしますし、心の病の症状を出したりもします。この回避系の行動をさせる刺激は、子供に加わる要因は、子供の心身の成長を阻害します。それ故に回避系からの行動をする姿は、子供に好ましくないので、成長を求めている子供のほんとうの姿と言うことができません。

>母親が子供を責めていない限り、これは絶対的な事実です。
つまり、子供の情動に接近系が機能をし続けて、その子供なりの心身の成長が可能になるからです。子供はその本能からこれをしています。

>母親が子供を責めたときには、子供は母親の前でもよい子を演じる、仮面をかぶる行動をするのです。
母親が子供を責めるとき(子供のためとして、場合によっては母親の都合から)とは、母親から受ける特有の接近系がなくなり、子どもの心に回避系を生じます。しかし子供は母親から衣食住を受けなくては生きていけません。子供は意識をしなくても、母親から衣食住を求めるために、母親から逃げることができなくて、母親の前でもよい子を演じるようになります。そのよい子を演じる姿から、母親も自分の対応が間違っていないと、子どもの心を間違って理解することになります。