「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪 2

● 「そのままでいいんだよ」 で本当にいいのか
 「引きこもりは家から外に引き出すべき」
  いまだに親や支援者の間には、そんな錯覚が根強く残る。

この議論の前に、大人年齢の引きこもりと、子ども年齢の引きこもりと、引きこもりという表現、形は同じでも、その心の中は違うことを配慮する必要があります。その区別をしないで、引きこもりと一まとめにした議論をすると、かみ合わない議論になります。

子ども年齢の引きこもりの要因は、引きこもることどもが持つ、学校に反応して子どもを辛くするトラウマの存在です。家の外に学校に関する物(登校刺激と表現します)が家の外にあるから、それを見たり意識することでトラウマが反応して、子どもは辛くなり、その場から家の中に逃げ出してきます。ですから子ども年齢の引きこもりは、家の外に登校刺激が無いと、家の外に出て行きます。家の中に引きこもりません。ただし、周囲の人が家の外に登校刺激が無いと思っても、子ども自身が登校刺激として感じる物があることは良くあります。

大人の引きこもりは、その人が否定されることでとても辛くなる場合です。多くの人は少しぐらい否定されても少し腹が立つぐらいですが、大人の引きこもりは些細な否定に対してもとても強く反応をして、辛くなります。それ故にこの反応の仕方も、否定、その結果の自己否定に反応をするトラウマと表現して良いと思います。

当然子どもの引きこもりと大人の引きこもりとの間には移行期に相当する物がある場合もあります。子ども年齢で引きこもり、年長の子どもの引きこもりになると、登校刺激と自己否定の要素の両方を考える必要があります。