心のエネルギーの分配 1

<症例>
小学3年生から不登校の息子です。小学6年生になった現在ネットやゲームで家の中で楽しく過ごしています。同級生だった友達とネット上で学校に話しもしますし、その友達と遊びます。学校に行っていなくて、勉強はしていませんが、それ以外の若干の問題点を除くと、ごく普通の子どもです。

その若干の問題点とは歯磨きを毎日しないこと、風呂もたまにしか入らないこと、髪の毛もかなり伸びないと切ろうとしません。母親はこれは未だ十分に心が元気になりきっていないサインではないかと心配しています。もっと心のエネルギーを高めるために、友達などからの登校刺激を遮断した方が良いのではないかと、相談に来ました。

<回答>
このお子さんは登校刺激に反応をしなくなっています。外見は不登校でも、その意味で心は不登校ではありません。その動きから、意思をしっかりと表現することから、心のエネルギーは十分に大きいと推測されます。心のエネルギーが十分に大きいと子どもが必ず歯を磨くようになるか、入浴するようになるかというと、必ずしもそうではありません。心のエネルギーが貯まると子供が不登校を止めて、学校に行くようになるかというと、必ずしもそうではありません。十分に貯まったこころのエネルギーを何処に注ぐのか、それは子どもの判断です。その子どもなりの心のエネルギーの注ぎ方をするのです。

その子どもなりの一日の時間を何に注ぐのか、子どもによって皆異なります。その子どもなりの判断が大人と異なっているだけです。その子どもなりの判断は子どもが感じる必要性によって決まってくるようです。子どもが必要と判断したことに心のエネルギーを分配して集中していきます。大人から見たらたわいもない遊びに見えても、子どもから見たら必要性のある生活の仕方なのです。子どもから見て必要と感じないところには心のエネルギーを注がないか大して注がないのです。

この子どもの問題(子どもの立場からなら問題ではないのですが)を解決すると言うことは、親の希望することを子どもにして貰う(させるという発想の場合には、子どもを否定することになり新たな問題を生じます)には、つまり歯磨きや入浴など、子どもが必要と判断しないことをして貰うには、子どもにそれらをしたいと判断するようにして貰うことでしょう。子どもがそれらのことをする心のエネルギーを持っていますから、子どもがしたいと判断するならする事が出来ますし、するようになります。