古本に戻って 6

回避系の条件反射は、日常生活に大きな影響を与えます。

例えば刑法は、刑法に反する行動をすると罰を与えます。犯罪を犯すと刑罰を与えられます。犯した犯罪は犯人にとって無関刺激だったのです。犯罪を犯すことで刑罰を受けて、その犯罪が嫌悪刺激になります。それ以後犯罪を回避するようになります。

あることをして親に叱られると、元々あることとはその子どもには無関刺激か接近系の刺激だったのですが、叱られると言うことでそのあることが嫌悪刺激になり、その後そのあることを子どもは避けるようになります。このことは普通の大人なら皆理解します。これは躾の仕組みです。

学校内である教師に体罰を受けたとき、元々ある教師はその子どもにとって無関刺激か接近系の刺激でしたが、その体罰でその教師はその子どもにとって嫌悪刺激になります。その子どもはその教師を避けるようになります。場合によってはその教師が居るために学校に行かれなくなります。その教師が居なければその子どもは学校に行かれます。またその子どもがそのある教師を見たときに生じる辛さとは、その教師によって受けた体罰の辛さと同じ物になります。体罰がひどければひどいほど、その子どもはその教師を見たとたん、意識したとたん、その時受けた体罰と同じ辛さを、その子どもは感じるようになります。

このとき、多くの人はその教師でその子どもの心が傷つけられたと表現します。その子どもにとってその教師がトラウマになったと表現します。このように心が傷つけられた、トラウマになったと言うときとは、多くの人では無関刺激か、接近系の刺激である物が、ある辛い経験で、その無関刺激が回避系の刺激になることを言います。その回避系になったときに生じる辛さは、その経験したある辛い経験の辛さになります。つまりより辛い経験をすればするほど、嫌悪刺激に変化した刺激はより辛い辛さを生じるようになります。