基本に戻って 7条件刺激の汎化

回避系の条件反射を私たちは無意識に利用していることを申し上げました。ここで 条件反射の汎化 に注目して頂きたいと思います。動物実験なら
動物に痛みと同時に音を聞かせると、動物がその音を聞いただけで、痛みを受けたときと同じような反応を起こすのを条件反射と言います。この動物について条件反射ですら、条件反射を知らない人は、なぜこの動物が音に反応をして恐怖状態になるのか理解できません。人間なら、教師に体罰を受けて子どもがその教師を怖がることは理解できます。しかしそれが条件反射だとは知りません。

上記の動物実験で、その動物が反応をしない光と一緒に、条件付けられた音を聞かせると、そん動物はすぐにその光に反応をして恐怖を表現するようになります。条件刺激の汎化を生じます。これと同じ事が人間でも生じます。体罰を受けて教師について恐怖を感じるようになった子どもが学校に行ってその体罰を受けた教師に出会うと、子供は恐怖を表現すると同時に子供の周囲に存在する物を新たに条件刺激として学習します。子供の周囲にある物は教室や黒板、机、友達の他にこれらを含んでいる学校が条件刺激として学習されます。つまりこれらの物を見ると子供は体罰を加えた教師で感じる恐怖を感じるようになります。これが条件刺激の汎化です。

この事実は、条件刺激に汎化という知識がないと理解できません。条件刺激の汎化も条件反射なのですが、当人も、周囲の人も、気づかない物に恐怖の条件刺激を学習して、その気づかない物に子供が反応して恐怖を起こしてしまうのです。周囲の人は子供が恐怖を起こす物が無いのに、子供が恐怖を起こすのですから、子供がおかしい、子供を普通に戻す必要があると、考えて子供をますます恐怖の条件刺激に晒してしまいます。子供はますます条件刺激に敏感に反応をしてしまいます。