歯科医 1

10歳の息子が不登校になって3年が経ちました。最近はとても元気でゲームやネットで忙しそうです。只歯を磨かないので虫歯がひどく、時々痛んで抗生剤や痛み止めを飲んでいます。

今日私は治療で歯医者に行かなくてはなりませんでした。すると息子が「僕も行ってみたい」と言って、着いてきました。もちろん息子は歯のことを気にかけられるほど元気になっていたからでしょう。

歯科医院では治療を受けている私の側に息子が居ました。息子は歯科医にきちんと挨拶や着いてきた理由を言いました。歯科医から何年生?と聞かれたとき、息子は暫く面食らったようにした後、5年生(間違っているけれど母親は指摘しませんでした)と答えました。母親の治療はすぐ終わったので、歯科医が息子に歯を見せてごらんと優しく言いました。息子が口を開けると、歯科医は「ひどい虫歯が沢山ある、すぐに治療をした方が良いよ。」と言いました。息子は「大丈夫です。」と言ったので、歯科医は「大丈夫じゃあないよ。此はひどいから早く治療をした方が良い」と言いました。息子は「その内に治療に行きます」と言いました。そして息子の治療の予約を取って帰ってきました。

帰り道で息子はとても辛そうでした。足が重くて母親と一緒に歩くことが出来ません。そこで母親は息子は治療が嫌なのだと気づきました。すぐに歯科医院に電話をして、予約を取り消しました。「予約を取り消したよ」と息子に言っても息子は未だ沈んだ面持ちでした。

息子が歯科医院に着いてきたのには、息子なりに理由があったはずです。息子なりに歯の治療をしなくてはと感じて居たのでしょう。息子にとって歯の治療は必要なことと理解し始めて居ました。そこで治療の内容を知りたかったのでしょう。

この歯の治療とはどの様な物なのかを知ろうとするのは、息子さんの挑戦でした。ですから息子さんを歯科医院に連れて行った母親の対応は間違いではありませんでした。それにしてもとっさに学年を聞かれて間違った学年を言う息子さんは、すっかり学校を忘れていたという意味でしょう。