ある男の子からの考え方 23

>純一君は「それなら高校をやめて働く」と言いました。
この時点で純一君は、辛い学校から逃げたいという感情=思いが湧いているけれど、具体的に学校を止めてどうなるかという自分の姿を描けていないはずです。純一君は学校から逃げたいけれど、親によって学校から逃がして貰えないので、純一君の辛さが相乗効果を起こして、辛さが極限近くなっていて、これ以上高校を意識できなくなって、高校を止めるという言葉を使いました。つまりもう高校に関わりたくない、高校と繋がりたくないという意味でした。

純一君は、高校に繋がっていることと、働くと言うことと、言葉では大きく違いますが、純一君の心の中では同じ意味だと言うことを知りません。叉、働くと言う意味を父親の働いている姿から、概念としてそれなりに理解していたはずですが、純一君自身のこととなると、全く理解できていなかったはずです。純一君が働くと言う言葉を使ったのは、もう学校に行かないと言い実が主だったのです。

純一君が只単に高校に行かない、止めると言っても、両親から許可をして貰えません。働くと言う言葉以外の言葉を使っても、高校を止めることを認めて貰えないことを。それまでの経験から、純一君は知っていました。つまり純一君は高校を退学させて貰うために、便宜的に働くと言う言葉を使っただけなのです。言葉を換えて言うなら、純一君は両親の理解の盲点(これについては後述の予定)を突いて、退学を得ることが出来たのでっす。

>母親もこの高校では息子のいいところを伸ばしてくれない、かえってだめになる
母親も純一君を学校に行かせるためのいろいろな対応をして、どれもうまくいかなくて、学校に行かせる対応策を放棄しなくてはならない状態にあったのだと思います。純一君が高校を止めると、その後の純一君の姿を推測できないので、それまでは何が何でも純一君を高校に行かそうとしたのでしょう。それで成果も出ないし、見通しも立たないので、困っていたときに純一君からの「働く」という言葉に、飛びついたというか、受け入れざるを得無かったのでしょう。きっと働くと言う言葉に、しっかりと意思を出しているから、高校性格と違って、職場で生き生きした純一君の姿を想像したのでしょう。

だからといって、母親の対応が間違いであった、もっと純一君の将来を真摯に考えるべきだったという議論は成り立ちません。日本文化の中での母親の発想としてごく自然で有り、それで将来に過去のを残すことを誰も教えてくれていなかったからです。夫を含めて周囲の大人は母親と同じ発想をしたと推測されます。

>と退学に強くは反対しませんでした。
つまり母親にとって渡りに船だったはずです。母親なりの将来の純一君の姿を描いて、退学を受け入れたと言うことでしょう。ただし前述のように純一君は働くことを意味して働くと言う言葉を使ったのでは無いのです。その結果として、この先純一君と母親との間に理解の違いからのトラブルが生じることになります。