ある男の子からの考え方 29

>もともと国語や英語などの勉強が好きだった純一君は、スポーツも得意なので十八歳のときにはスポーツ雑誌の編集がしたいと思い立ちました。あちこちの出版社に電話をかけましたが、高校中退の純一君を雇ってくれる出版社はありませんでした。

きっとこの純一君の行動は学校を退学して就職しようとしているときの事柄ではないかと考えられます。出版社で猫の手も欲しいような状態なら、きっと出版社は面接をしてくれたでしょう。所がこの10年以上出版社は不況なところが多かったようです。すぐに人手が欲しい、若い人が欲しいという状態ではなかったと推測されます。それでも新年度に入る頃には人員を募集したかもしれません。その意味で出版社に職を求める時期が悪かったと思います。

叉雑誌の編集という作業は、かなり経験が必要な仕事です。例え高校を卒業していても、すぐに編集という作業は出来ません。それなりの下積み、経験が必要で巣。只興味があるという理由だけで出版会社は動いてくれないはずです。高校中退でも、それなりの編集の実経験がある、取材の実経験が無いと、すぐに採用をしてくれないはずです。採用してもそれなりの経験を積ませる必要がありますから、会社としても希望するだけで採用というわけにはいかないはずです。

純一君の場合、高校に行かないために職を探していたのですから、言葉ではスポーツ雑誌の編集をしたいと言っても、必ずしも本気では無かったはずです。働きたくない、働けないという心の状態で、働くなら過去の経験からスポーツ雑誌の編集を思いついただけで有り、それを心底したいというわけでは無かったはずです。もし心底この仕事をしたいなら、それなりの準備活動をして良いはずです。それなりの思いが会社側に届いたはずでしょう。きっとそれは無かったと思います。それでも人手不足で猫の手も借りたいという状況なら、それなりの採用をされたでしょうが、その様な出版業界でなかったと言う不運もあると思います。

例えスポーツ雑誌の出版社に採用されたとしても、心に大きなダメージを受けている純一君は、会社が学校のと同じような機能をして(不登校の子供にとって学校と就労とは同じように心に作用をするという経験的な事実があります)、すぐに会社に行けなくなったはずです。