大人の引きこもり 19

引きこもりを経験した、元気な大人がなぜ就労してくれないのかの問題点の一番は、見かけが元気でも、就労に向かう心のエネルギーを持って居ないか不十分という事実です。

就労に向かう心のエネルギーが不十分な原因は一見当人にありそうですが、本当は親と子の信頼関係にあります。親と子の信頼関係が十分にあると、その就労から得られる喜びが小さくても、就労に向かう障害が大きくても、その大人なりに就労に挑戦してその大人なりに就労をしてくれます。就労による親の喜びがその大人自身の喜びになるからです。

親と子の信頼関係が無いと、その大人は就労に挑戦してくれません。親の就労をして欲しいという思いが、親と事の間の信頼関係が無いことで、信頼関係が無いことで、その大人にとって親からの要求で有り、その大人の今の姿の否定になるからです。心のエネルギーを奪ってしまいます。その心のエネルギーを失うことを補うために、愉しいことに没頭をしなくてはならなくなります。

其れでは親が子どもを信頼すれば良いと言うことになりますが、其れまで引きこもりを続けていた大人にとって、親に信頼されていなかったから引きこもりを続けていたのです。親がその大人に信頼しているよと言葉で言ったところでその大人には実感を持って届きません。納得できません。信頼関係があってこそ、その言葉が通じるのです。

引きこもりから元気になり社会の中で好きなことをしていても、其れはその大人の心の辛さを解消している姿で有り、本当に心が元気な大人ではないのです。元気そうに見えても、見えない部分に辛いものを持った大人なのです。その様な大人に余計に辛くする、心のエネルギーを奪う就労を要求すること自体が無理なのです。就労をしようとしないのが自然なのです。