心の回復3

学校に反応をして子どもを辛くするトラウマが消失すると、つまり心が回復すると、子どもが持つ本能から子供は学校に行こうとします。心という点から見ると、不登校の子供で心が回復するとすぐに学校に戻ると考えられますが、現実は少し違います。それはトラウマを消す過程にあります。

トラウマは一種の記憶、知識の記憶と異なった情動記憶です。記憶ですから、トラウマが反応をしない時間が長いと、時間とともにトラウマの記憶は薄れていきます。ただしその時間は何年という長い時間です。トラウマが反応をするたびにトラウマは元に戻ります。そこから消えるまで長い時間がかかることになります。それ故に登校刺激をしてはならないのです。

トラウマが消えるまで待つ間の時間に、子どもにとって楽しいことをしていると、トラウマが反応をしにくくなります。その分、早くトラウマが消失してしまうことになります。トラウマが消えるまで子どもが楽しいことをしていると、子供の本能の学校に行きたいという心の動きが出てきますが、それ以上に、子どもがしている楽しいことを子どもは求めてしまいます。その結果、トラウマが消えても子供は学校にすぐに戻らないことになります。

完全に学校に反応をして子どもを辛くするトラウマが消失してしまったとき、子どもに登校刺激を与えて子どもを学校に行かせることが出来ます。所がそのトラウマが消失しているつもりでいても、実際は消失していなかったら、子どもを学校に行かせることで元のトラウマが反応を再開して、子供は学校に行かれなくなります。それ故に、トラウマが消失したかどうかのタイミングを見極める必要があります。子どもの姿から、子どもが元気になっていても、トラウマが弱まっているという証拠になりますが、トラウマが消失したという証拠にはなりません。心の回復に近づいてきているけれど、心が回復していないことになります。