心の時間的な変化

>人は脳の機能からの情報で、体の各部分を動かして、行動をしているというのは信じられるのですが、そのことをもっと詳しく知りたいのです。
心を客観的に知るには複雑すぎて、大変に難しいです。そこで心を簡略化して、大筋の心の動きを理解することで、その人の言葉や行動を理解することが可能になってきています。その心のモデルが知識の心、習慣の心、情動の心です。

大人の脳の機能からその大人の行動を知るのは難しいです。意識の心が人により、状況により大きく異なるからです。その意識の心が言葉や行動に表現した物を統計的に表現しようとするのが心理学です。

所が子供は意識の心は言葉として機能をするだけです。子供の行動には影響をしないと考えて良いです。そこで言葉を心の付随的な機能として考えることで、子どもの心を、特に心が辛い子どもの心を知ることが出来ます。

>その表現される、一瞬一瞬で、三つの心の内の、どれが表されているかということなのですね。
そうなのです。三つの心の表れる表現は時間的な違いがあります。それをまず理解してください。
人は体内、体外からの刺激を受けるとそれにより反応をするのですが、刺激を受けると瞬間的に反応の心が反応をします。それにほんの僅か遅れて情動の心が反応をし出します。その際に反応の心の反応が、情動の心の反応より強ければ、反応の心が表現され続けますが、多くの場合情動の心の反応が強くて、情動の心の反応が体中に表現されます。
それから少し遅れて意識の心が反応をしだして、意識の心が習慣の心や情動の心の機能を押さえつけて、意識の心が体全体に表現されます。それが大人の姿です。つまり大人の心とは、習慣の心や情動の心は機能をするのですが、すぐに意識の心がその人の全てを支配して今します。

所が子供では脳神経細胞の数は大人と同じになっていても、その神経結合が未だ完成していない部分があります。それが意識の心からの情動の心、習慣の心の機能を抑制する機能です。子供では、意識の心は言葉として表現されますが、習慣の心や情動の心を大人のように調節できないのです。その結果意識の心から体への表現は無いと考えてください。もちろん程度の問題がありますし、子供が大人年齢に近づくと、この調節機能が不完全に現れるようになります。
子供がよい子を演じるときがありますが、その時には意識も関係していますが、それ以上に情動の回避系が強く機能をしています。

>子供の場合、つまり、情動で感じたものは、意識できない、そういう、脳の仕組みだから、ということですか?
一応、それで良いともいます。

>表現力というものがありますが、例えば、ロミオとジュリエットのジュリエットを演じる人は、なりきりますよね。その時、こころで感じるまま、体で表現できたなら、きっと、全てが一致したような感覚になると思います。
そうです。ただしその場ですぐに出来る物ではありません。役者がその情景を想像して、その想像から感じる情動=感情を表現するのですが、その表現する状況を意識的に修正して、その修正と繰り返しを続けることで、つまりその演技を練習をすることで、無意識に意識を遮断でき、記憶から作り上げたイメージに沿った情動を反射的に作ることが出来るようになります。役柄に没頭できます。

>そこに、もし、頭で考えた意識が入ってきたら、それは、意識が表現の邪魔になるともいえますか?
そうですね。一応その考え方で良いです。
役者はそれにより、イメージを変えて、そのイメージから情動を表現する練習をするのです。