何が辛いのか2

先週からおなかが痛い、友達が意地悪をしてきて嫌だ、先生もすぐに怒るから嫌だ、と言って荒れたり、朝なかなか学校に行こうとしませんでした。そこでスクールカウンセラーのアドバイスから先週三日間休ませました。来週から母親の付き添いで登校させることになっています。

担任はとても教育熱心な、子ども思いの先生です。クラスに特別いじめがあるという話はありません。整然としたクラスのようです。

担任からの電話連絡では、その日に宿題をしてきていなかったので、そして其れが何回か続いていたので、先生に怒られたそうです。授業にも集中していなくてそわそわしていて、体操にも参加しようとしないで、保健室に行ってしまいました。担任がいろいろと質問をしようとすると、その場から逃げ出して家に帰ってしまったようです。帰っても母親に学校であったことを何も言っていなかったので、担任から電話連絡があったときに母親はびっくりしてしまいました。

このようなことは今までなかったことです。母親が子どもにいろいろと尋ねても今までと同じことを渋々と言います。母親は学校に何か辛いことがあるように感じたのですが、その辛いことが何か特定できていません。そこでスクールカウンセラーと相談して子どもをしばらく休ませることにしました。子どもが学校を休んでいればまた登校できるのか、母親はとても心配をしています。

<回答>

>母親に学校であったことを何も言っていなかったので、担任から電話連絡があったときに母親はびっくりしてしまいました。
この現実の姿から、母親と子どもとのあいだに信頼関係(全てに信頼関係がなくなったのではなくて、学校に関することに信頼関係がなくなった)がなかったと考えられます。心が元気な子どもはあることないこと、母親に話したいのです。其れは子どもの本能的な欲求です。その子どもからの話が母親にできなかった姿だと考えられます。もちろん母親は普段の子どもの姿から、子どもを信頼していたし、何でも話てくれていたものだと考えていたのでしょう。このこと自体、子どもの心が辛くならなかったら問題ないことです。多くの親がしていることですし、其れで問題を生じることはないからです。ひょっとしたらあるのかもしれませんが、その時点で表面化していないのかもしれません。

母親は子どもを信頼していたのに、なぜ子どもが母親を信頼できいなくなって、子どもが思うことを素直に言えなくなったのかを考えてみる必要があります。子どもと母親との信頼関係は、母親が子どもを見ない、子どもに言わない、母親の笑顔、でできてきます。子どもは生まれてから今の年齢まで母親を信頼して、その子どもなりに育ってきています。母親も子供の話を聞き、それに応えて、子どもの成長を喜んでいます。つまり常識的には良いお母様だったのです。子どもの訴えを聞いて、それに良いアドバイスをして、子どもの悩みの解決の手伝いをして、子どもの成長を楽しんでいました。笑顔もあったと思います。

それでも子どもは辛くなり、母親を信頼できなくなって、学校であったことを話せなくなっています。これは学校に関して母親と子どもとの間に信頼関係がなくなっている姿であると同時に、なぜ母親と子どもとの間に信頼関係がなくなったかという原因も知ることができます。其れはまず最初に、何かの理由で子どもが学校で辛くなったことを母親に話したことから始まります。その話を母親が聞いてあげたことは、対応として正解なのですが、その後子どもに解決策をアドバイスしたことに問題があるはずです。これは常識にそっていますし、多くの親がしていることなのですが、この子どもの心には好ましくなかった、母親のアドバイスで逆にこの子どもがより辛くなった可能性が高いです。

この母親の対応は多くの心が元気な子どもには間違った対応ではありません。子どもの方でも母親からのアドバイスを上手に利用して、学校内での自分の問題を解決して、学校に行き続けることができます。心が辛い子どもにとって母親からのアドバイスが子どもの心に沿っていればそのアドバイスはとても有効なのですが、母親からのアドバイスが常識的で子どもの心に沿っていなければ、子どもは学校内の問題を解決できません。 「それどころか学校内での問題で苦しんでいる子どもの心を、母親は子どもによかれと考えてしたアドバイスで、否定することになります。これが繰り返されることで、子どもは母親に相談するとかえって子ども自身が辛くなることから、母親に学校であったことや、自分の心の内を打ち明けなくなります。」

このような子どもが学校であったことや自分の心の内を母親に話さなくなるのは、突然起こることではありません。必ず前兆があります。今まであれだけいろいろとおしゃべりをしていた子どもがだんだんしゃべらなくなる、どことなく元気がなくなってくるということから、多くの母親はその前兆を見逃すか、その変化は子どもに何か変化が起きているから子どもの問題を解決しなくてはならないと考えます。母親自身の対応に問題があるとは考えません。其れも仕方がないことです。

しかし母親だけは、母親自身が先回りをした、子どもの心に沿わない対応をしているのではないかという観点から、ご自分の対応を見直す必要があります。母親の常識を捨てて、子どもを見ない、子どもに言わない、母親の笑顔、の子どもに言わないの部分を思い切って実践してみると、子どもの方からいろいろと話をしてくるようになるはずです。子どもの方でいろいろと行ってきても、母親からのアドバイスをしないで、ひたすら共感して聞き続けることで、子どもの心は楽になり、母親を全面的に信頼するようになります。