同級生2

<質問>

11歳の息子は元々学校が好きで無かったようです。不登校の原因は、クラス内に息子が嫌な男の子が居て、学校から帰ると母親に、こんな嫌なことをされた。あんなことをされた。ほんとうに嫌だった。と話してくれていました。母親の私は息子の話を聞いて、一度担任とそのことを話したことがありましたが、何も変わらなかったようです。そしてある朝から子供は起きてこなくなりました。

<解説>

前回のMSGで申し上げましたように、息子さんは入学前から辛い経験を続けていたので、辛いことに他の子供以上に強く辛さを感じるようになっていたのです。

不登校の原因は、クラス内に息子が嫌な男の子が居て
其れは息子さんに限ったことでは無いはずです。多くの子供はその様な子供がいてもその嫌な子供から受けた辛さを何かで解消出来ているから、問題なく学校に通い続けられています。しかし息子さんはそれが出来ません。その理由として其れまでに辛い経験を続けていて、其れが十分に解消出来ていなかったから、同じような辛い経験をその嫌な子供から受けても、その辛さが息子さん以外の子供が受ける辛さより強かったという意味です。

ここで殆ど全ての人が知らないことですが、辛いことの後の辛いことはその辛さがより強くなると言う事実です。多くの大人は辛い経験を繰り返しても慣れがあるなどと全く逆な発想をします。だから不登校や、心が辛くて犯罪に走る子供が出てくる理由の重要な理由です。「辛さの後に続く辛さは相乗作用がある」 と言う事実です。勿論辛さの後に続く辛さとの時間的な感覚も影響をします。

もう一つ大切なことは「辛さと楽しさと相殺する」という事実です。学校で辛くなっても学校から離れて、家庭に帰って、楽しさで相殺できるのです。辛かったことが無かったと同じに出来るのです。

>学校から帰ると母親に、こんな嫌なことをされた。あんなことをされた。ほんとうに嫌だった。と話してくれていました。
この息子さんの行動は、学校での辛さを母親に話すことで相殺しようとする子供の本能的な行動ですが、其れで完全に相殺されなかったのかも知れません。

>母親の私は息子の話を聞いて、一度担任とそのことを話したことがありましたが、何も変わらなかったようです。
担任は子ども達の一面しか見ていません。とても子ども達の全ての面を見ることは時間的にも無理です。また担任という大人が考える対応は、大人の心からの対応ですから、子供の心とは違った対応になってしまいます。時にはかえって辛い思いをしている子供を責めてしまうことすらあります。ですから、学校で辛い思いをした子供を守るために、担任を利用することも悪いことでは内ですが、期待できないと、母親は考えて対応をした方が良いです。

>そしてある朝から子供は起きてこなくなりました。
息子さんに学校に反応をして息子さんの心を辛くするトラウマが出来たというサインですから、このトラウマを無くする対応、トラウマがあっても息子さんが社会に向かって成長できる対応を、今後母親はしなくてはならないと言うサインです。つまり母親は学校を利用しない子育てを真剣に考える必要があります。其れは母親にとってとても辛いことですが、息子さんが学校で苦しんでいる事実をしっかりと認識して下さると、其れは難しいことではありません。但し学校に関する常識を捨てなければならないという、もう一つの難しさが母親にあります。