何が辛いのか3

<相談>

先週からおなかが痛い、友達が意地悪をしてきて嫌だ、先生もすぐに怒るから嫌だ、と言って荒れたり、朝なかなか学校に行こうとしませんでした。そこでスクールカウンセラーのアドバイスから先週三日間休ませました。来週から母親の付き添いで登校させることになっています。

担任はとても教育熱心な、子ども思いの先生です。クラスに特別いじめがあるという話はありません。整然としたクラスのようです。

担任からの電話連絡では、その日に宿題をしてきていなかったので、そして其れが何回か続いていたので、先生に怒られたそうです。授業にも集中していなくてそわそわしていて、体操にも参加しようとしないで、保健室に行ってしまいました。担任がいろいろと質問をしようとすると、その場から逃げ出して家に帰ってしまったようです。帰っても母親に学校であったことを何も言っていなかったので、担任から電話連絡があったときに母親はびっくりしてしまいました。

このようなことは今までなかったことです。母親が子どもにいろいろと尋ねても今までと同じことを渋々と言います。母親は学校に何か辛いことがあるように感じたのですが、その辛いことが何か特定できていません。そこでスクールカウンセラーと相談して子どもをしばらく休ませることにしました。子どもが学校を休んでいればまた登校できるのか、母親はとても心配をしています。

<回答>

一生懸命子育てをして、学校に子どもを行かせよう、勉強をさせて良い成績を取らせようとしている母親は、一般の大人から見たらとても良い母親と見えます。子どもの心が元気なら、子どもの能力を伸ばせる良い母親です。ところが心が辛い子どもにはますます子どもの心を辛くする母親になってしまいます。学校が子どもにとって辛いことに気づけないからです。

なぜ心が元気だった子どもが心が辛い子どもになってしまうのかの理由として、一番大きいのは担任の学級運営です。担任が一生懸命クラスを維持しようとして子ども達に関わることが、子ども達の子どもとしての自然な姿を制限することになり、子ども達の間に心が辛くなる子どもが出てきます。その心が辛くなった子どもがクラスないで問題を生じるようになり、其れを正そうとする担任の対応がますます心が辛い子どもの心を辛くすると言う悪循環を生じて、子ども達の間でいじめる子ども、いじめられる子ども、授業妨害などの問題行動をする子どもが出てきます。

教育熱心な先生は、父兄から見たらとても良い先生と理解されますが、子ども達から見たら、子どもとしてのあり方を否定する辛い先生になっています。心が辛い子どもを生み出す原因になっています。しかし子どもの心が辛くなっているかどうかをあらかじめ知ることは不可能です。子どもの心が辛くなって、学校を拒否し出したり、クラスないで問題行動をするようになって、初めて子どもの心が辛いことに気づけるのですが、多くの場合子どもの心が辛くなったことに母親が気づけたとしても、母親は子どもに何か問題があると考えて、母親が気づいた問題点と思われる物を正そうとします。

担任の学級運営が子どもの心を辛くしたとは考えません。担任の学級運営で心が辛くなった子どもも、なぜ自分が学校で辛くなったのか理解できません。子どもに辛くなった原因を質問しても、担任の学級運営で辛くなったという事実を知らないのですから、その原因を答えられません。子どもがそのときまでに知識として得た、いじめや学級内の問題点を言葉にする場合もありますが、其れを言うと子ども自身の問題点があるとして責められますから、言うこともできなくなってしまいます。

教育熱心な母親もとても良い母親に見えますが、心が元気な子どもにはその能力を伸ばすのに良い母親ですが、心が辛い子どもにとって、子どもの辛さを助長する母親になります。其れは本来なら子どもは辛さから母親に守って欲しいのですが、心が辛い子どもにとっては、辛い学校に子どもを押し出すことになり、学校に関して母親と子どもとの間に信頼関係がなくなっていたという事実になっています。

担任の学級運営でどんどん能力を伸ばせる子どもは多いです。けれど一部の子どもはそのために心を辛くしてしまいます。其れは仕方がないことです。その心を辛くした子どもの心を守り、また子どもの心を元気にできるのは、その子どもの母親だけです。母親だけは、子どもの心の元気さを念頭に置いて、つまり母親として素直な感じ方から、子どもの心を感じ取って、子どもの心を元気にして、子どもを学校に送り出す必要があります。