子供の心の脳科学1

これからの話は不登校と直接関係ありません。興味がある方だけ読まれてください。ある意味で私の脳科学的な考え方を私自身がまとめるためです

脳は心という意味で可能な限り簡単にして表現すると
感覚野
記憶野
運動野
大脳辺縁系
前頭前野
と分けて考えると、子供の心が理解できます。

<入出力>
感覚野は体中の感覚器から入力して出力は運動野、大脳辺縁系前頭前野です。
記憶野は感覚野と前頭前野から入力して出力は前頭前野大脳辺縁系です。
運動野は感覚器から、前頭前野から、大脳辺縁系から入力を受けてから中の筋肉に出力します。
大脳辺縁系は、感覚器から、前頭前野(子供では考えない)から、入力を受けて、脳内の全て(感覚、記憶、運動)と体中の臓器に出力をします。
前頭前野は子供では考えませんが、大人では運動野、大脳辺縁系、記憶野に出力をします。

記憶野は短期記憶は感覚野に記憶されません。長期記憶は大脳辺縁系の海馬からの調節を受けています。ですから海馬を介して情動の影響を受けます。
運動野は、まず感覚器からの情報で反応し、それに遅れて大脳辺縁系からの情報で反応をします。大人ではそれからもっと遅れて、前頭前野からの情報で反応をします。

運動野は運動連合野と運動野とに分かれます。運動野の神経細胞は体の一つ一つの筋肉と対応をしています。運動連合野には、運動の仕方のパターンが存在します。その運動のパターンに対応をする入り口の神経細胞前頭前野の近くにあります。ある運動をするときにはその入り口のいくつかの神経細胞が情報を受けて、その入り口の神経細胞に相当するいくつかの運動のパターンが運動野の神経細胞に情報を送って、体中の筋肉に指令を出します。それが体の動きや言葉を出す口の動きになります。つまり、体を動かすのと、言葉を発するのと、神経回路は異なりますが、基本的には同じ仕組みです。

運動野は本能的に感覚器からの情報ですぐに反応をする入り口の神経細胞があります。大人では前頭前野からの情報、子供では大脳辺縁系からの情報で行動のパターンが選択されてそれに基づいて行動をしますが、それを繰り返している内に感覚器からの情報で前頭前野が情報を作らなくても、情動からの情報がなくても、感覚器からの情報で同一の運動パターンが選択されて、それに基づいて行動をするようになります。これを習慣化と言います。

大脳辺縁系の入り口は、心という意味では、扁桃体と考えて大丈夫です。
扁桃体の中には、外界の物に一つ一つに相当する神経細胞が存在しています。ただし外界の物に一対一で存在するのではなくて、外界の物に反応をする神経細胞は複数です。扁桃体の中の入り口の細胞はいくつかの外界の物に反応をします。つまり入り口の神経細胞は外界のいくつかの物に反応をしますし、入り口の神経細胞は外界の特定の物に反応をするだけではなくて、いくつかの物に反応をします。この入り口の神経細胞は、大脳辺縁系の特定の症状を出す神経回路と結びついています。入り口のある神経細胞が刺激されると、それに伴って生じる情動が決まりますが、同時にいろいろな入り口の神経細胞が刺激されているので、それぞれに対応をした情動が同時に生じることになります。
扁桃体の入り口の特定の神経細胞が刺激されるとそれに相当する情動を生じますが、ここで条件反射という仕組みで、入り口の特定の神経細胞とそれに相当する情動との結びつきが変わってきます。いわゆる情動学習を生じます。

子供の場合前頭前野の機能を無視できますから、これだけの知識があれば子供の心の分析ができます。大人では前頭前野の機能で大脳辺縁系の機能を働かなくできますし、前頭前野の機能で運動野への情報を送り体中の筋肉を動かせます(意識行動)から、子供の心と大きく異なります。

子供の学校での学習とは、記憶野の情報を増やす、習慣化を促進する、情動学習をすることです。