「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪 5

>● 「そのままでいいんだよ」 で本当にいいのか
> 「引きこもりは家から外に引き出すべき」
>  いまだに親や支援者の間には、そんな錯覚が根強く残る。

 

大人の引きこもりの場合、自己否定という要素と、心のエネルギーという要素とを考える必要があります。この二つの要素とも、今の日本の大人が持っていない概念です。

自己否定とは、普通の大人でも何か失敗をした折に、此ではだめだと感じる反応の仕方です。そして多くの大人ではその失敗を回復しようとする心のエネルギーを持っていますから、自己否定が大きな意味を引きこもりの大人が持っているとは考えません。

ところが引きこもっている大人は、此ではだめだ(自己否定)と感じた瞬間、とても辛い症状を体中に生じてしまいます。普通の大人では殆ど問題とならない辛いことや、失敗や、周囲の人からの非難で、引きこもりの大人はそれをとても強い此ではだめだという思い、自己否定を生じてしまいます。つまり引きこもっている大人にとって、此ではだめだと感じることが、トラウマを機能させる嫌悪刺激となってしまっています。回避行動を起こす原因になっています。

嫌悪刺激の回避行動としては、逃げる、よい子を演じる、荒れる問題行動をする、心の病の症状を出すと、分類される姿になります。