脳の年齢とこころ 2

老化とは、体の中で何が起こっているのかを考える必要があります。大人の体は、ある時間が経つと、体を作る細胞が作られてそれが既にある細胞と交換をして、交換して貰った細胞は壊されて無くなります。全体として今までの体を維持しています。新陳代謝と言われています。

但し脳ではそれがなされているという証拠がありません。脳では局所的に、新しい細胞が作られている証拠は見つかっていますが、脳全体で行われている証拠はありません。つまり完成した脳は死ぬまでほぼ同じ脳細胞から、ほぼ同じ神経繊維から成り立っていると考えられています。神経情報の伝達に必要なシナプスも強い結合のシナプス=永久記憶のシナプスも新陳代謝をして居ないのではないかと推測されます。

老化というのはこの新陳代謝が弱くなる、若いときのように行われなくなると言う意味のようです。脳の場合は新陳代謝がほぼないので、脳細胞が死滅する=脱落すると、そこにぽっかりと神経伝達の断線線を生じます。その結果その脳細胞が死滅した神経回路はその後機能をしなくなります。脳の能力が減少をしたことになります。

所が不思議なことに、脳に関して、年齢的に老人年齢になっても、脳内に使用されていない脳細胞が数多く残されている(予備の神経細胞)ようです。それが脳を使うことで、つまりその脱落した能力を新たに使うこと(リハビリに相当)で、脱落した神経細胞の部分にその予備の神経細胞が動員されて、脱落した能力を取り戻すことが出来るようです。つまり日常生活上、脱落した能力を再度学習することで、脳の能力としての老化が防げると言う事になります。但しその置き換わりにかかる時間、つまり再学習が身につくまでに時間がかかる傾向があります。経験的には忘れやすい、覚えにくいと感じる場合になると思います。