脳の老化と心 3

脳の老化とは体の老化と少し異なると申し上げました。そこでなぜ脳細胞が機能をしなくなるのかを考えて見ます。私も受け売りの知恵なので以下の考え方で正しいのかどうか不明です。

脳細胞が機能をしなくなる理由として
1.脳細胞があっても脳細胞を機能をさせる情報が入力されていない
2.脳細胞にその機能を妨げる物質が貯まってきて、機能が出来なくなる
3.脳細胞がその細胞を維持するのに必要な物質(栄養と酸素)が届かなくなる
が、考えられます。

脳の老化の主たる要因は3.だと言われています。つまり、身体の老化の一つの姿として動脈硬化があります。この動脈硬化の変化は脳内の血管にも生じます。動脈硬化がもたらす物は血流の減少、その結果として栄養の不足、酸素の不足です。そのために動脈硬化が強い脳の領域の脳細胞の死滅を生じます。その領域の脳の活動の消失を生じます。

ここで脳以外の臓器でも生じているようですが、使用頻度の高い脳の領域には動脈硬化が起こりにくい、遅れて起こると言う事実です。このことから思い起こすことのない記憶や使わない脳の能力は、動脈硬化の進行とともに脳細胞が死滅することで、脱落していきます。記憶が消失していくことについて、詳しい情報を持って居ませんが、過去の記憶の内で特に強い記憶、過去によく使っていた記憶は他の記憶より消失が遅いようです。それは老人が過去の事に頑固であると言う姿として、そしてその内容が結構以前と同じように残っていることを知ることが出来ます。そして生活をしていく内に経験することはすべてこの残った脳細胞の機能で対処していくことになります。時には経験したことを説明する知識が残っていない老人では、その時までに残っている能力で説明することになりますから、所謂昨話を生じるようになります。

この所謂昨話を老人は何か利害関係などの配慮から行っているのではありません。その時経験してたことを表現する知識を、普通の人では当然として行っている判断を、老人は失っているのです。ごく自然な姿なのです。では普通の人では当然として行っている判断を思いださえたり、新たに覚えて貰おうという考え方があると思いますが、当の老人はそれすら失っているのです。その時の老人が持って居る脳の能力以上のことが出来ないのです。

この老人に残っている脳の能力とは、「日常に関する物(絶えず使って居るから消失していない)」と、「未だ失っていない過去の能力」です。ここ老人を見る、老人を評価する難しさがあります。