気持ちの言語化

ある専門家の話です。相談にきた子供について、子供の気持ちをこういうふうに思ってるのかな?どうしてそういう気持ちになるのかな、と言語化を助けることで、子供の心を知ることができると言っています。例えば「死にたい」ともらす患者(大人)さん相手に行い、気持ちの言語化でよい効果を実感していると言っています。子供についてそれをして効果的だったと言っていません。

大人は自分の気持ちを言語化することで、自分の気持ちを整理して、その整理した気持ちから行動ができます。ところが子供は自分の気持ちを整理できません。大人が整理してあげようとして言語化するための言葉を言うと、その言葉があたかも自分の気持ちのように、その専門家の前で反応をしてしまいます。よい子を演じてしまうのです。大人の思いを押しつけられた形になります。しかしその押しつけられた言葉通りに行動ができません。場合によってはその専門家から押しつけられた思いの逆をしてしまう場合も多いようです。

大人と子供と心が違うのです。大人の心でできることが、子供の心ではできないのです。子供の心には子供特有の対応の仕方があります。それを知っている専門家が少ないという意味でしょう。子供はそのときの情動から、感情から、反応をして行動をします。専門家が子供の心を言語化しようとしても、子供自身が自分の心を言葉で理解できません。専門家の言語化の対応が子供を苦しめるのでよい子を演じてしまい、その場から逃げだそうとします。そのとき受けた辛さから、かえって問題行動を強めるのだと推測されます。