母親達は情動を理解している

経験者のお母様たちの言葉からの、重要なポイントを指摘しておきます。

大人については、理論や考え方が大切ですが、不登校の子供で大切なのは、子供が感じる感情です。お母様たちは既に情動という言葉を使っていらっしゃいます。感情というと感情を表す言葉と顔に表す表現をイメージします。不登校の子供を育てた経験者のお母様たちは、不登校を理解するのに感情では不十分で、感情の元になる情動を見つめていらっしゃいます。

情動とは意識や記憶と全く異なる物です。大人では感情という言葉で意識や記憶と区別しますが、情動とは感情を含めたもっと広い概念です。不登校の子供の姿を大人の持つ感情で理解しようとしたら、子供が言葉にすることからでしか理解できません。しかし不登校の子供は言葉で感情を表すこともありますが、感情を言葉にしないことが結構多いので、大人は子供の心を理解できない場合が多いです。場合によっては一方的に、勝手な解釈をしてしまいます。

情動という場合には、感情として言葉で表現することもありますし、表情や、言葉の調子で表現することもあります。それ以外に行動に表現されますし、体の中にも表現されます。程度の差はあっても、同一の情動から、これら全てに表現されます。しかし大人は言葉に表れた物を感情として理解して、それ以外の情動の表現を全く別のもとして理解します。

子供が情動から、そのときの感情を言葉にしたときはそれを理解しようとしますが、それと同時に示す問題行動や荒れや、心の病の症状に対して、子供のこれらを解決しようとします。子供の辛い心を解決しようとしません。それは医者も医療として延々としていることであり、きっと医者が気づかなければ、一般の人も気づくようにならないと思います。

確かに子供が示す感情と、それと同時に示す問題行動や心の病の症状は、小説家にとって格好の材料になることも事実です。理解できなことの不思議さを文章にすることで、世の中の注目を浴びることができ、本が売れるからです。でもその根底には子供の心を全くわかっていないという、大きな問題点があるのです。