クスリの使用

普通高1で不登校となり、通信制高校への転校して、やっとの思いで卒業できました。その過程で自傷行為が強くなりました。カウンセリングの先生は緊急性が高いので、病院受診を勧められ、薬を服用しながらこの一年過ごしてきました。幸いお薬があったのか、自傷行為は落ち着き、春には推し活のためにお小遣いがいるからという理由でアルバイトを始めました。
その頃は1人で出かけたり、友達とも遊んだり表面的には元気になっていましたが、時折り発する「社会不適合者にはなりたくない」「ニートはイヤ」と言う息子の言葉から、母親は息子が無理に外に出ようとしているのではと感じ、「もうちょっとゆっくりしたら?」と言いました。それでも息子は面接を受けて採用となり、週4日の午前中だけのアルバイトに行くようになりました。
初めは生き生きと、みんなと同じように朝起きて活動できることを嬉しいと話してくれていましたが、一ヶ月ぐらいたつと不安感が再び再燃してきたようです。その時の何とも言えない息子の表情を覚えています。何かの資格を取らなきゃと資料を集めたり勉強を始めたりするのと同時に、バイトを休むことが増えて、10月半ばからほとんど行けなくなりました。

<解説>

>普通高1で不登校となり、通信制高校への転校して、やっとの思いで卒業できました。
日本の不登校の子どもの心には、ほぼ100%学校に反応をして子供を辛くするFCR=トラウマがあります。それは学校や学校関連の物に反応をして、その子どもの心をとても辛くします。その辛さは死ぬ思いがするほどです。

>その過程で自傷行為が強くなりました
通信高校に通っていることでFCR=トラウマが反応をしているとき、その反応の仕方は子供により色々ですが、一部の子供では自傷行為をする子供が出てきます。不思議なことに心の辛さが強いと痛みを感じにくくなっています。そこで子供の中には生きている証を知りたいと言って、自傷行為(子供の言葉ですから、本心なのか、自分の心の辛さを自傷行為を子供なりに説明しているのか分かりません。経験的にはその両方のような印象を受けます)をする子供が出てきます。

>カウンセリングの先生は緊急性が高いので、病院受診を勧められ、
このカウンセラーを含めて多くの大人は、子供が自傷行為をすると自殺の前兆だと考えます。子供は自分の心がこれらの傷のように辛いよとだけ言っていると理解して良いのですが、子供の心を理解できない人には自殺の前兆だと考えてしまいます。それは医者も同じです。

>薬を服用しながらこの一年過ごしてきました。
医者も自殺をされたら医者の責任になりますから、なんとしても自傷行為をなくそうとして、向精神薬を投与します。経験的に多くのその様な子供でも、薬の服用を嫌がります。それは子供は自傷行為をすることで自殺をしたいという意味を言っているのではなくて、これほど心が辛いのだよと言っているだけなのです。それでも自傷行為をする子供は親や大人の対応に反発しないで、受け入れてしまう子供が多いです。その結果薬を飲み始めてしまいます。向精神薬は心の不安を軽減します。完全に押さえるのではありません。それと同時に向精神薬の副作用も生じてきます。この向精神薬の副作用の多くは、子供が持っている自殺をしたいという精神疾患から来ていると考えられて、無視をされて、自傷行為が収まることを目安に投薬量が増えていきます。その結果薬の副作用も増えていきます。

>幸いお薬があったのか、自傷行為は落ち着き、春には推し活のためにお小遣いがいるからという理由でアルバイトを始めました。
薬で子供の不安が軽減すると、今の自分ではいけない、普通の子供、普通の大人にならなくてはならないと言う思いが働きます。それは親から与えられる物か、それまでの成長の過程で身につけていた子供自身の知識の場合もあります。その結果、不登校の子供が学校に行かなくてはならないと感じるように、家で何もしていないで何かをしなければならないというように思うようになります。また、薬で不安が抑えられていますから、出来るようになります。但し出来るようになるのであって、出来続けるという意味ではありません。薬で不安は抑えられていても、不安には相乗効果がありますし、その薬が体内で破壊されやすくなって、その薬の効果がだんだん弱くなって行っているからです。

ここで注意をしなければならないのは、向精神薬は主として脳内の辛さを表現する神経回路を機能しないようにしているようです。決して治しているのではありません。薬がなくなるともとの症状が出てきますし、同じ量のクスリを飲んでもその薬の効果が弱まる傾向があります。その弱まった効果を補うために、薬の量が増えてしまいますから、薬の量が増えることで、薬が持つ副作用が強くなっていきます。

>その頃は1人で出かけたり、友達とも遊んだり表面的には元気になっていました
薬で不安が軽減されていただけで、ある意味で薬で修飾された心で生活していると考えられます。子供のほんとうの心の姿ではないのです。ある意味で厚化粧で顔を変えている女性の顔のような物です。お化粧が取れたらもとの顔に戻ります。薬に関しては薬が切れたらもとの辛い心に戻ります。ですから薬を止めることが出来なくなります。

>時折り発する「社会不適合者にはなりたくない」「ニートはイヤ」と言う息子の言葉から、母親は息子が無理に外に出ようとしているのではと感じ、「もうちょっとゆっくりしたら?」と言いました。
子供の辛い心は薬で抑えられていて、見かけ上普通の子供に見えます。知識も既に身につけている知識から言葉を発することが出来ますが、その言葉からの行動は難しい場合が多いです。思考活動も制限されています。勿論飲んでいるクスリの種類や量で異なります。

>それでも息子は面接を受けて採用となり、週4日の午前中だけのアルバイトに行くようになりました。初めは生き生きと、みんなと同じように朝起きて活動できることを嬉しいと話してくれていましたが、一ヶ月ぐらいたつと不安感が再び再燃してきたようです。
この理由は上記で説明した理由です。薬を飲むと、子供の素直な心の辛さが分からなくなり、(医者が作り上げた)病気という考え方がより強くなってしまうのです。病気を治さなくてはならないと言う思いが寄り強くなっていく傾向があります。病気でないのですから、病気が治ることはないのです。症状がなくなる=病気が治るではないのです。

>その時の何とも言えない息子の表情を覚えています。何かの資格を取らなきゃと資料を集めたり勉強を始めたりするのと同時に、バイトを休むことが増えて、10月半ばからほとんど行けなくなりました。
薬の効果で過去の記憶知識から働くことは考えられても、働くという行動はだんだん出来なくなっていくのです。働くための心のエネルギーがマイナスだからです。