不登校と薬

不登校だけれど内服をしながら、自宅で勉強をしている娘です。昨日は一人で買い物に出かけ、今日からはまた資格取得の勉強を再開していました。母親は「ゆっくりしたらいいよ。好きなことをしながら。」と言うと、娘は「嫌々じゃないの。前から1月末には受けたい試験があるから学校に行きたい。それに、家で好きにのんびりするのも、そろそろ飽きたし。ゆっくりやるから大丈夫」と言いました。母親は「そうなんだね、無理はしないでね」と言うしかありませんでした。
この一週間、娘は勉強したり、散歩をしたり、スマホを触ったり、自分のペースで過ごしたようです。今日は試験の申し込みに行くと言って出掛けて行きました。ほんの少し前にあんな状態だったのに頑張ってしまう、いい子を演じているのでしょうね。帰ってきたらゆっくりマッサージでもしながら話を聞こうと思います。

<解説>

このMSGを見ると、不登校だけれど、学校と上手につきあい、元気になってきていると理解できるかも知れません。けれど不登校だと言うことは、学校に反応をして子供を辛くするトラウマ=FCRがあると言う意味です。それも現実に学校に行けないのですから、かなり強いトラウマがあるはずなのですが、このMSGからはそのトラウマの存在を感じにくいです。つまりこのトラウマがある限り、勉強は出来ないはずです。それなのに何故勉強の話が出来るのか、学校の話が出来るのか、試験の申し込みにも出かけられるのか、何か理由があるはずです。

その理由は薬の効果だと思われます。トラウマの反応で生じる心の辛さが薬でかなり軽減されているために、このMSGのように普通の子どもと同じような行動が出来ていると推測されます。薬を止めたらとても辛い不登校の子供の症状を出して、勉強や学校の話を出来ないはずです。でも薬の効果で娘の姿は学校に行っていないけれど学校に行かれそうな雰囲気を出しているので、母親には不登校の子供にする対応の切迫感がありません。

ではこれで良いかというと、経験的に次の3つの問題点があります。その第一は、今は薬の効果が見られますが、薬の見かけ上の効果はだんだん無くなってくることが多いです。その結果として娘が今の状態、見かけ上の効果を維持するために、薬の量や種類が多くなってきます。これが将来の娘の問題になる可能性が高いです。

その第二は、薬を用いて娘の姿が安定して居ても、娘の脳の中ではトラウマが反応をし続けています。トラウマは反応をすればするほど、脳の中のトラウマの反応は強化されていきますから、やがて今の薬ではトラウマの見かけ上の反応を抑えられなくなり、トラウマの反応症状が表面化してきます。その結果としてそのトラウマの反応症状を抑えるために、薬の量や種類が増えていきます。これも将来の娘の問題になる可能性が高いです。

その第三は、薬には程度の差はありますが、必ず副作用があります。その副作用がないと思われても、投与期間が長くなると表面化してきますし、投与量が増える、薬の種類が増えることで、副作用が強く出てくるようになります。これも将来の娘の問題になる可能性が高いです。

母親は娘に薬を飲ませたくないようですが、それ以上に母親の安心感のために、娘が薬を服用することに妥協をしています。その結果として将来の娘に上記の三つの問題を生じたときに、娘が薬依存になってしまう可能性がとても高いです。