よい子を演じる(3)

子供は何を感じ、考え、行動するか、から

>子供の自然態の良い子の姿と良い子を演じた場合の良い子の姿と見分けるのは大変に難しいです。
子供を信頼しているつもり(子供の心の立場からは信頼していない)の母親や学校の先生など、子供を取り巻く大人には不可能と言って良いと思います。なぜならよい子を演じている子供は、普段の子供と大きく変わらないか、普段以上によい子ですから、子供がよい子を演じていると気づかないか、かえってよい子を演じている子供を褒めてしまう場合もあるぐらいです。

>母親でもいつも以上に良い子だからと喜んでしまい、良い子を演じていると気づかない場合が多いようです。
母親は不思議な感じ方をします。それは自分の目の前の子供の姿より、学校の先生の目を通した姿を信じる傾向があります。先生が、担任が言うことをそのまま信じてしまう傾向があります。つまり先生の前で子供がよい子を演じると、先生は子供がよい子だと判断して、その判断が母親に伝えられます。すると母親は、母親の前で子供が母親の希望する姿でなくても、問題行動をしていても、つまり子供が何かで辛い思いをしていても、母親は母親の目の前の子供の姿を信じないで、子供は学校で頑張っているから問題ないと、子供の心の辛さに気づかないことが多いようです。

多くの母親は自分の子供を頭がよい子に育てたい、性格がよい子に育てたいと願っています。それは日本の文化ですから仕方が無いことです。それ故に、先生の前で、担任の前で、子供がよい子を演じている姿を、担任から報告を受けると、母親は母親の目の前の子供の姿に関係なく、喜んでしまう傾向があります。その結果、子供が心が辛いよと母親の前で表現しても、それを母親の都合の良いように理解して、担任からの報告を信じ込んでしまう傾向があります。

その結果、学校が辛くて学校に行きづらくなっていると子供が表現しても、母親は見落としてしまい、学校に反応をして子供を辛くするトラウマ=FCRの反応に気づくのが遅れてしまいます。子供が不登校になって(不登校の姿の段階2)、何故自分の子供は学校に行けないのだろうと、何とかして学校に行かせようとする対応をすることになる傾向があります。

>良い子を演じた子供は大人がいないところで問題行動をしますから
よい子を演じた子供の心は、よい子を演じることで辛さが軽減することはありません。辛さはそれ以前と同じです。辛さをよい子を演じることで解消(相殺されるのではなくて、回避できただけです)できたとしても、繰り返す辛さから、辛さの相乗効果を生じて、辛さが強化されてしまいます。その心の辛さを何かで発散しないと、子供はもっと辛くなって、心の病の症状を出してしまいます。

勿論子供はそのことを知りません。子供はその本能から、よい子を演じて辛さを回避できないときは、その子供を辛くするもに向かって荒れたり、子供の周囲に問題行動をします。その問題行動は大人から止められないところで行われます。問題行動を止められると、その子どもの心の辛さが解消しないので、又その後で、どこかで問題行動をすることになります。

>子供の問題行動の噂を聞く場合は、子供が良い子を演じていないかどうかを母親は考える必要があります。
よい子を演じてその場の辛さを回避できても、心が辛い子供は大人の気づかないところで問題行動をしますが、それでもその子供の問題行動に気づく大人が出てきて、大人の間の噂になってしまいます。その噂は母親に伝わってきますが、母親は噂になっている自分の子供がよい子だと信じていますから、噂の方を信じないことが多いようです。勿論何故その様な噂が立ったのか知りませんし、噂の原因を調べようともしない傾向があるようです。

つまり、自分の子供に問題行動をしているという噂があるとき、母親は子供に聞きただす(聞きただすと、子供はよい子を演じてしまいます)のではなくて、子供に分からない様に(分かってしまうと信頼関係を壊してしまいますから)、噂の真偽を確かめる必要があります。