心の回復6

母性とは何かと言われると私もその実体を文字にする事はできません。母親が自分で産んだ子どもに対して、無条件で、反射的に、その子どもを危険から守り、育てようとする能力です。あくまでも推論ですが、受胎と同時にスイッチが入るようです。自分で産んでない子どもには母性は機能しません。しかし一度母性が機能をした女性では、母性の真似事がかなり上手に出来ます。それでも母性の限界があります。

子どもの方でも母性を無意識に母性を引き出そうとしますし、その母性に守られて、かなり辛い難局でも乗り越えようとします。子どもの心の大本を支えるのは母親の母性のようです。

不登校の相談を受けている私も、当面の対応を母親にアドバイスすると同時に、以下にして母親の母性を引き出すかを工夫します。母親自体が知識や常識で固まった母親なら、その知識や常識を尊重しながら、母性を発揮させるように、母親にアドバイスをします。しかしそれは大変に難しい作業です。母親の母性を機能させられるようになったときには、不登校問題が半分解決したように私は考えています。母性が機能しだした母親では、自分の子供について、知識や常識はどうでも良くなっています。子どもの笑顔が見たい、それだけを求めて母親は対応を続けます。その対応を私は其れで良いですよと肯定してあげるだけです。

不登校などの心が辛い子どもが、その辛さが取れて、社会に向かって動き出すには、つまり心の回復のためには、どうしても母親の母性が必要です。母親がいない子どもについては、その対応方が大変に難しいです。それでも母親に代わる、子どもを産み育てた経験がある女性がいるなら、母性の代用ができますから、その分楽になります。このような女性を私は代理母と呼んでいます。